カンキツ未成園における「マルドリ方式」の有効性と導入条件

タイトル カンキツ未成園における「マルドリ方式」の有効性と導入条件
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2014
研究担当者 棚田光雄
齋藤仁藏
根角博久
発行年度 2014
要約 「マルドリ方式」を改植時に導入し未成園期間を2年短縮すれば、追加投資を必要とするが、同期間中の労働費などの減少により育成費用を節減し、高所得が期待される品種・園地への導入を条件に、慣行栽培に比べて物財費の回収を早め、収益効果を発揮する。
キーワード マルドリ方式、カンキツ、未成園、育成費用、収益効果
背景・ねらい 改植による品種更新の場合、苗木の植栽から収益を得るまでの育成期間は未成園とされ、収益をあげることができず、経営の不安定化につながることが懸念される。そのため、カンキツ作において「マルドリ方式」(マルチと点滴かん水施設を用いた栽培方法)を改植時に導入し、幼木・若木の生育を促進して、未成園期間の短縮(早期成園化)を図る現地試験が進められている。しかし、定植した苗木が成木としての目標収量を達成する ためには長期間を要する。
そこで、標準的な育成年数や施肥設計を踏まえて設定した慣行栽培生産技術モデル(以下、慣行栽培モデル)を基本に、現地試験成績を参照して「マルドリ方式」生産技術モデル(以下、「マルドリ方式」モデル)を作成し、両モデルの費用・収益を比較することにより、未成園での「マルドリ方式」の有効性と導入条件を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 1年生苗木を定植し3年目で初成りした試験成績を踏まえ、「マルドリ方式」モデルは5年目に成園に到達し、慣行栽培モデルより未成園期間を2ヵ年短縮できるものとする。その条件で、両モデルの収量と所得曲線を推定し、経済性試算の前提とする(図1)。
  2. 施設への追加投資が伴うため、「マルドリ方式」は未成園期間における物財費が慣行栽培に対して70%弱増加する(図2)。しかし、同期間の短縮が大きく影響し、労働費などが削減され、育成費用(物財費+労働費)は20%弱減少し、成園費の縮減をもたらす。
  3. 育成費用を経常支出として扱い「マルドリ方式」の有効性をみると、高所得の品種へ適用し、2ヵ年の早期成園化により、未成園期間中の物財費が慣行栽培より1.5年程度早めに回収できるため(図3)、同方式の導入は経営の安定化につながる。
  4. 「マルドリ方式」と慣行栽培における年次毎の収益の累計額には、成園において一定の格差が生じ(図3)、それが早期成園化によってもたらされる収益効果になる。この収益効果は目標所得水準に規定され、また、未成園期間の1年短縮では物財費の負担によって大きく制限される(図4)。高所得を期待できる優良品種や優良園地の選択、未成園期間の2年短縮が「マルドリ方式」の改植時導入にあたって必要な条件となる。
成果の活用面・留意点
  1. 「マルドリ方式」の未成園での導入にあたって事前評価として活用できる。
  2. 改植時に設置されたマルドリ施設は成園での施設と同じであり、成園期間に入ってもそのまま使用されるが、ここでは成園における経済性の問題と切り離して検討している。
  3. 生産技術モデルは、既存資料(技術・経営指標)のほか、現地試験協力農家における「マルドリ方式」の導入に伴う栽培・作業面の変化を考慮することにより作成した。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028096
カテゴリ 改植 経営管理 栽培技術 施肥 早期成園化 品種 その他のかんきつ

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