温室へ施用した二酸化炭素の利用効率の評価手法

タイトル 温室へ施用した二酸化炭素の利用効率の評価手法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2012~2014
研究担当者 畔柳武司
安場健一郎
東出忠桐
岩崎泰永
発行年度 2014
要約 温室へ施用した二酸化炭素の利用効率は、施用前後の温室内の残存量、施用量、温室からの損失量を用いて算出できる。利用効率の評価には、外風速と日射量との重相関関係を用いた解析が適切である。
キーワード 施設園芸、二酸化炭素施用、換気回数、トレーサガス法
背景・ねらい 温室内の二酸化炭素濃度を人為的に高める二酸化炭素施用を効率的に行う場合、二酸化炭素濃度の目標値を低日射時や換気時には成り行きか低い数値とし、温室を閉鎖した状態では高い数値とするが、その際の利用効率は明らかではない。利用効率は、供給した二酸化炭素量に対して作物が吸収した量の割合として算出できるが、温室全体の作物の光合成速度を定量化するには多大な労力を要する。そこで、温室の隙間換気回数(閉鎖した温室内の空気が1時間に外気と入れ替わる回数)を測定かつ定式化することで二酸化炭素の損失速度を定量化し、温室へ施用した二酸化炭素の利用効率を評価する手法を提示する。
成果の内容・特徴
  1. 温室へ施用した二酸化炭素の1日の利用効率は、施用前後の温室内の残存量と、1時間毎の供給速度と温室からの損失速度の積算値を用いて算出する(式1a)。この計算過程において、温室内の作物群落全体の見かけの二酸化炭素吸収量を算出できる。
  2. 損失速度は、隙間換気回数および温室内外の二酸化炭素濃度の差を用いて算出する(式1b)。施用前後の残存量は、温室内外の二酸化炭素濃度の差を用いてそれぞれ算出する。温室の隙間換気回数はトレーサガス法、温室へ供給する二酸化炭素の量は流量計、温室内外の二酸化炭素濃度は濃度計によって測定する。
  3. 温室の隙間換気回数は、外風速の毎時平均値と有意な正の相関関係があることから(図1)、トレーサガス法による測定を元に外風速を独立変数として対象温室の隙間換気回数を推定する単回帰式を作成し、損失速度の算出に用いる。
  4. トマト栽培中の温室内の二酸化炭素濃度を高濃度に保つ場合、作物群落の二酸化炭素吸収速度は日射量に、温室閉鎖時の二酸化炭素の損失速度は外風速に依存するため(式1b、図1)、低日射時には吸収速度が損失速度と同程度となることがある(図2)。
  5. 閉鎖した温室に施用する二酸化炭素の利用効率の評価には、外風速との負の相関関係、あるいは日射量との正の相関関係を用いた解析よりも、外風速と日射量との重相関関係を用いた解析が適切である(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 施用した二酸化炭素の利用効率を向上させるには、日射環境を考慮するだけでなく、被覆資材の展張方法を工夫するなど、高い気密性を確保し、さらに防風施設などを活用して、温室の隙間などからの空気の出入りを少なくする必要がある。
  2. 本手法は、養液栽培などで床からの二酸化炭素供給がないと仮定したものである。また、本手法による二酸化炭素の利用効率の測定誤差は、二酸化炭素の流量計および濃度計の測定誤差が±5%、30ppm±3%RDの場合、誤差の伝播法則より±10.8%となる。
  3. 二酸化炭素の利用効率を測定した温室は、トマトのハイワイヤー誘引養液栽培を行う閉鎖時のプラスチックハウス(床面積9.7m×18.4m)である。栽植密度はm2あたり2.2株、測定期間中の葉面積指数は1.1~3.1 であり、二酸化炭素施用として6:00~18:00の間、目標濃度を1,000ppmvとして生ガスを供給する条件で行ったものである。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028094
カテゴリ 施設園芸 トマト 養液栽培

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