冬季のススキ優占草地は子牛生産性に影響を及ぼすことなく放牧利用できる

タイトル 冬季のススキ優占草地は子牛生産性に影響を及ぼすことなく放牧利用できる
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2014
研究担当者 山本直幸
高橋佳孝
堤道生
渡邉貴之
大島一修
後藤裕司
発行年度 2014
要約 積雪の少ない温暖低標高地のススキ優占草地は、黒毛和種繁殖牛の妊娠中期までの冬季放牧地として活用でき、連年での冬季放牧飼養においても生産された子牛の生時体重や発育性には影響しない。
キーワード ススキ優占草地、冬季放牧、子牛生産、黒毛和種繁殖雌牛
背景・ねらい 耕作放棄地などの野草を利用した黒毛和種繁殖雌牛の放牧飼養は、飼料費削減、放牧期間延長、飼養管理省力化、環境負荷軽減などの観点から生産現場での関心が高い。しかしながら、冬季の野草地を繁殖雌牛の放牧地として活用するには、子牛生産への評価を行う必要がある。
そこで、積雪の少ない温暖な低標高地のススキ優占草地で繁殖雌牛の冬季放牧を行い、母牛の栄養状態ならびに子牛の生産性、発育性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 放牧地は毎年3月に掃除刈りを行い、7月中旬までの約3週間放牧し、それ以降は放牧を休止し備蓄する。2011年度から2013年度において、毎年11月下旬から3月上旬までの98日間放牧を行う。補助飼料のフスマは、放牧中期(放牧42~56日目)より日量1~2kg/頭を給与する。冬季放牧終了後はシバ優占草地放牧、分娩前後は舎飼いとする。
  2. 植生は、ネザサ、スイバ、ヨモギ、ジュズスゲ、チガヤなどが混在し、冬季放牧による経年的な生産量の低下や植生の変化はみられない。植生のTDN(可消化養分総量)は繁殖牛にとってほぼ適性水準で、CP(粗タンパク質)は不足気味である(図1)が、補助飼料無給与条件において、haあたり2頭の放牧強度で約6~8週間の放牧が可能である。
  3. 血液代謝成分のうちエネルギー充足項目は、BHB(β-ヒドロキシ酪酸)、GLC(グルコース)、ACAC(アセト酢酸)のいずれも放牧開始から終了まで黒毛和種繁殖牛の適正値範囲内で推移する。FFA(遊離脂肪酸)は、放牧中期以降に適正値範囲を超えるが、運動による上昇要因もあることから総合的評価では大きな支障はない(図2)。
  4. 血液代謝成分のうちタンパク質代謝項目は、放牧開始後にBUN(血中尿素窒素)の低下が認められるが、補助飼料のフスマを給与後は上昇し、放牧期間中は適正値範囲内で推移する。ALB(アルブミン)は、ほぼ変動なく適正値範囲内で推移する(図2)。
  5. 冬季放牧後に生産された子牛(オス3頭、メス3頭)の生時体重および5ヶ月齢体重は、冬季放牧を行わずに生産された兄弟子牛ならびに大田研究拠点生産牛、全和発育平均値との比較において劣ることはない。また、3シーズンにわたる経年の冬季放牧も子牛生産性には影響を認めない(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 同一牛2頭を放牧し、試験開始時は6歳と7歳、妊娠34~95日である。草地(島根県大田市)は、面積約0.9ha、標高約60~90m、東斜面、傾斜5~15 度、無施肥である。
  2. 積雪の少ない温暖な中国地域において、放牧期間の延長や周年放牧に取り組む際にススキ優占草地を放牧地として活用できる。
  3. 放牧中期以降は、NFC(非繊維性炭水化物)およびCPの補充を目的としてフスマなどの補助飼料を給与することにより、栄養状態の改善を図ることができる。
  4. 放牧牛は放牧経験のある経産牛とし、ルーメンフィルに留意するとともに、妊娠後期までにはススキ優占草地放牧を終了させ、分娩前の増し飼いは通常通り行う。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028093
カテゴリ 飼育技術 省力化 すいば 施肥 繁殖性改善 よもぎ

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