高品質原料用果実を活かした加工事業拡大型カンキツ作ビジネスモデル

タイトル 高品質原料用果実を活かした加工事業拡大型カンキツ作ビジネスモデル
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2012~2014
研究担当者 棚田光雄
河野恵伸
発行年度 2014
要約 加工事業を拡大するカンキツ作ビジネスモデルは、高品質原料用果実の糖度選別、原料品質を維持する搾汁方式、商品の詰め合わせセット化を通して差別化を積み重ねつつ、ブランド化した高級ミカンジュースを軸に新たな加工品を組合せるなどの特徴を持つ。
キーワード カンキツ作経営、ビジネスモデル、高級加工品、高品質原料用果実
背景・ねらい カンキツ作では、ミカン価格が低迷する中、収益性の改善に向けた対応として、加工事業の導入による多角化の取り組みが生まれている。その中で、特に自社で高額な加工施設投資を行うカンキツ作経営は、加工事業の拡大を基軸として経営発展を図ることとなる。そのため、生産・加工・販売を一体化した取り組みにおいて、利益を持続的に生み出す仕組み(ビジネスモデル)の構築が不可欠である。そこで、高級加工品に対する新たな需要を掘り起こして成果をあげているA農園の事業活動と経営実績を検討することにより、加工事業を拡大するカンキツ作ビジネスモデルの特徴を明らかにする。なお、A農園は従業員が46名で、直営園地(6ha)と前身組織を設立した農家7戸の栽培園地(計12ha)を基盤とし、温州ミカンの生産、共同選果・出荷、農産加工、販売を行っている。
成果の内容・特徴
  1. このビジネスモデルでは、裾もの果実を原料とした低価格の日用品、あるいは限定的特産品という従来のカンキツ加工品ではなく、贅沢感があり美味しい高級ミカンジュースを提案する。そして新規需要を掘り起こすとともに、高級志向の顧客のニーズを探り出し、既存市場とは異なるミカン高級加工品市場をつくり出す中で、高級品ブランドを創出し、新商品を組み合わせることによって加工事業を拡大する(図1)。
  2. 利益の源泉は生産・加工・販売各過程での差別化の積み重ねであり、次のような活動に示される(表1)。高品質原料用果実を光センサーによって厳選し、周辺農家から糖度別価格に基づいて買い入れる。地元メーカーをパートナーとし、原料素材の品質を損なわないよう外皮を剥いで搾汁する方式を用い、同時に施設への初期投資を軽減する。高級ミカンジュースとデザート・調味料の詰め合わせセット化により訴求力を高める。
  3. 高級品ブランドを創出する過程では、県の統一ブランド(生果)と同じ糖度をもつ稀少な原料用果実を使用することで品質を保証する(図2)。また、既存の産地ブランドを活用して商品への認知を促し、糖度基準を緩め原料用果実を増やして新たなブランド品の製造と全国販売を展開する。さらに、商標権を活用してブランド力を向上させる。
  4. 新規需要の掘り起こしにおいては、定期の試飲販売の継続を通して商品の価値を直接伝達する一方、消費者意見を商品開発に活用する(表1)。また、日用品を含む新商品の開発を高級ミカンジュースによるブランド化の下で進め(図2)、高級加工品を軸にした多彩な商品構成によって顧客や販路を広げ、売り上げを伸ばして利益をあげる。
  5. 対象事例としたA農園では、売上高を右肩上がりに増加させ、初期の固定費を削減して段階的に高額な施設投資を行いながら良好な利益率を確保し、自己資本比率を高めている(図3)。そのため、高品質原料用果実の調達や試飲販売にかかるコスト負担と、事業拡大に必要な増員に対応する人件費確保が可能になっている。
成果の活用面・留意点
  1. カンキツ作において加工事業の拡大を図る際の参考になる。
  2. 加工施設を装備するカンキツ作事例を対象にしたが、委託加工中心で事業拡大を図る場合にも、自社製品の価値を理解する相手と組むことを前提に適用できる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028091
カテゴリ 温州みかん 加工 経営管理 コスト 出荷調整 その他のかんきつ

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