輸入小麦銘柄の品質は関連遺伝子型頻度によって特徴付けられる

タイトル 輸入小麦銘柄の品質は関連遺伝子型頻度によって特徴付けられる
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2014
研究担当者 池田達哉
谷中美貴子
高田兼則
発行年度 2014
要約 輸入小麦6銘柄の品質関連遺伝子型の構成は銘柄特異的である。これらの遺伝子型頻度と品質特性が対応付けられ、輸入銘柄の品質が特徴付けられる。
キーワード 輸入小麦、グルテン、硬軟質、デンプン、品質関連遺伝子型
背景・ねらい 国産小麦の品質を遺伝的に改良するためには、加工適性の優れる輸入小麦銘柄の品質関連の遺伝子型を解析し、用途に適した遺伝子型構成を明らかにすることが有効である。輸入小麦銘柄の品質関連遺伝子と品質特性を解析し、遺伝子型頻度と加工適性との関連について明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 2009年、2011年、2012年流通の輸入小麦6銘柄(パン・中華麺用:1CW、DNS、HRW、 中華麺用:APH、日本麺用:ASW、菓子用:WW)の種子について、生地物性に関わるグルテニン・サブユニット(Glu-1Glu-3)、製粉性や損傷デンプン量に関わる種子の硬軟質性(Pina-D1Pinb-D1)、デンプンの糊化特性に関わるアミロース合成酵素の遺伝子型(Wx-1)の組成を明らかにすることができる(遺伝子型の効果は図3を参照)。
  2. Glu-1Glu-3遺伝子型では、1CW、DNS、HRWの大多数は生地を強める遺伝子型Glu-D1dで占められている。1CWは生地を弱める遺伝子型Glu-A3eGlu-A3fの割合が高い。HRWはGlu-D1dとともに、生地を強める遺伝子型Glu-B3bGlu-B3gを持つ超強力型の遺伝子型構成である。一方、WWでは生地を弱める遺伝子型Glu-A1cGlu-B1anが高い(図1)。生地の強さを示す24時間後のSDS沈降価はタンパク質含有率と遺伝子型に対応してDNSで最も高く、WWで最も低い(表1)。
  3. Pin遺伝子型では、1CWとDNSは硬質の中でも種子がより硬くなる遺伝子型Pina-D1b/ Pinb-D1a(Pina欠失型)の割合が半数程度を占めている(図2)。種子硬度は、遺伝子型に対応し1CWとDNSで高く、大半が軟質の遺伝子型のWWで最も低い(表1)。
  4. Wx-1遺伝子型では、ASWの大部分はアミロース含量がやや低くなり糊化デンプンの粘性が高まる遺伝子型Wx-B1b(欠失型)を持つ。この遺伝子型はDNSやAPHでも2012年で4割程度を占める(図2)。糊化デンプンの粘度に対応づけられるRVAのブレークダウンはASWで遺伝子型に対応して高い傾向である(表1)。
  5. 豪州産ASWとAPHの遺伝子型で年次間差異が大きく、ASWではWx-B1bの割合が2009年に100%だったが、国内の干ばつによる不作で生産量が足りずASWの品質が著しく低下した2011年に68%に減少、2012年に93%まで回復した。この頻度の変化に対応して、RVAのブレークダウンも2011年で低下していた。
  6. 品質関連遺伝子型の効果とそれらの頻度をもとに、輸入銘柄の品質特性を模式的に分類できる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. この方法により銘柄間、年次間の遺伝子型頻度の違いを明らかにすることができる。
  2. 国産小麦の品種についても、品質関連遺伝子型組成の改良により高品質な国産小麦の育成に利用できる。
  3. 年次間差異に加え、同年同銘柄のロット間差異についても留意する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028088
カテゴリ 加工適性 小麦 品種

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