農業支援情報の基盤となる50mメッシュ気温データの作成手法

タイトル 農業支援情報の基盤となる50mメッシュ気温データの作成手法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2014
研究担当者 植山秀紀
加藤雅宣
池上勝
藤本啓之
川向肇
発行年度 2014
要約 半年程度の気温観測値からアメダスポイントとの地点間温位差推定モデルを作成することで、50m解像度の日平均・日最高・日最低気温データを、アメダスの全観測期間において作成できる。これは、圃場単位での精密栽培管理を実現する農業情報の基盤となる。
キーワード 50mメッシュ気温、中山間地域、アメダス、放射冷却強度指標
背景・ねらい 現在、利用可能な解像度1kmのメッシュ気象情報は、中山間地域などでは、メッシュ内に300m以上の標高差が出て2°Cを超える誤差が生じる場合や、斜面温暖帯などの局地気象の評価が困難であるなどの問題がある。そこで、中山間地域などの複雑地形地域において、圃場単位の農業情報作成に資する50mメッシュ気温データ作成手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 各メッシュの気温は、基準地点(アメダスポイント)との気温差を推定して作成する。複雑地形地域では、標高に加えて、それ以外の立地条件が気温差に及ぼす影響を推定する必要があるため、本手法では標高の影響を除外できる温位に気温を変換して地点間温位差を推定するモデルを作成し、そのあと標高の影響を加える手順とする(図1)。
  2. 地点間温位差は、推定地点と基準地点のそれぞれの立地条件を反映した推定地点要素(Tesc)と基準地点要素(Tssc)に分離できる。各要素は、大気上層面と地上との温位差である放射冷却強度指標(RCS)を変数とする1次回帰式でモデル化できる(図1左)。
  3. Tescの推定モデルは、現地気温観測に基づくTescをRCSに応じてグループ分けし、数値標高モデルで作成した地形因子を説明変数とするステップワイズ重回帰分析で作成する。Tsscの推定モデルは、観測値から得られる回帰式として作成する(図1右)。
  4. RCSに基づく推定モデルの作成には、放射冷却の弱い春(3~5月頃)と強い秋(10~12月頃)のいずれかのデータが必要であり、現地気温観測期間は、任意の時期から開始した半年程度以上が適当である。また、重回帰分析で選択される変数が1~3個であることから、観測点数は、地形の異なる20以上が適当である。
  5. 作成された50mメッシュデータは、従来の1kmメッシュデータよりも中山間地域の気温分布を詳細に評価できる(図2)。また、従来の地形因子解析法では不可能であった、観測値の存在しない期間(過去・未来)のデータ更新が可能である。
  6. 兵庫県において作成した2012年4~11月の50mメッシュ日平均気温データを観測値(40地点)と比較したときの2乗平均平方根誤差(RMSE)は、0.5°Cであった(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:全国の農業試験研究・普及機関職員、農業支援システム開発企業など
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国。2014年現在、兵庫県立農林水産技術総合センターの“山田錦最適作期決定システム”および“山田錦高温障害警戒システム”の基盤データとして利用されている(山田錦作付面積4,500ha)。また、和歌山県果樹試験場は、50mメッシュ気温情報から、最低気温出現率マップ、ミカンの開花日予測マップなどを作成している(ミカン作付面積3,881ha)。これらはいずれもExcelで動作する。
  3. その他:上層気圧面データは、高層気象台データ、気象庁の数値予報モデルGPV、領域気象モデルによるシミュレーションなどから取得できる。現地気温観測は10分間隔で行い、太陽電池式通風筒の中に温度ロガーを設置する簡易な装置で実施できる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028085
カテゴリ 高温対策 栽培技術 中山間地域

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