農産物直売所が都市部に仮設店舗を開設するビジネスモデル「出張直売」

タイトル 農産物直売所が都市部に仮設店舗を開設するビジネスモデル「出張直売」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2014
研究担当者 室岡順一
発行年度 2014
要約 出張直売は、農産物直売所が定期的に都市部に出向き、仮設店舗で手持ちの商品・人員から始めることができる対面販売型のビジネスモデルである。客足は短い販売時間に集中し、改善を積み上げつつ長期に取り組むことで、その場所特有の顧客層を得られる。
キーワード 出張直売、農産物直売所、ビジネスモデル、売上向上、店舗実験
背景・ねらい 近年、農産物直売所(以下、直売所)が多数開設される中、中山間地域の直売所は来店者数の伸び悩みと売れ残りに直面している。店舗外で新たな客を開拓して売上向上を図る「出張直売」が期待されるが、たとえば岡山県では1割の直売所が取り組むにとどまり、経験が頼りで、売上の停滞や定期開設に難がある場合もある。そこで店舗実験による検証も踏まえ、出張直売に新たに取り組むに当たり参考となるビジネスモデルとして提示する
成果の内容・特徴
  1. 出張直売は、直売所の運営者と出荷者が定期的に都市部へ車で農産物などを運搬し、テントなどで仮設店舗を開設し、数時間程度、客と対話しながら直接販売するビジネスモデルである。直売所店舗に置いたままでは売れ残るかもしれない商品が売れることで、1回当たり10万円を売り上げれば、運送費や人件費などの諸経費を差し引いても利益を計上できる(図1)。そして仕入原価分8万円は出荷者の収入として貢献する。
  2. 事前に準備するのは4つである。準備から片付までを担う労働力、農産物・加工品などの商品、商品を運ぶ自動車、定期的に開設できる場所である。2人1組となり、軽自動車1台で商品を運び、テント1張で販売する構成が基本単位となる。場所を確保すれば、直売所店舗の手持ちの商品から調達し、人員を調整して始めることができる。
  3. 取り組む手順は、準備>販売>片付に分かれる(図2)。直売所店舗に比べ販売の前後に時間がかかるが、10~12時台に8割の客が集中する。対面販売を活かし、次回の開設日や直売所店舗でのイベントを客に伝えたり、客からの栽培や調理・加工などの質問や要望に応えたりすることで、顧客化(顔なじみのリピーター化)を図る。
  4. 長期に顧客化に取り組むと、その場所特有の客層が際立ってくる。たとえば商店街は、元々地元の高齢女性が1人で来る割合が高い場所であり、その層を次第に引きつける(図3)。客の感想・要望の文章で最頻出の単語は毎年「新鮮」であり、出張直売の顧客価値(客を引きつける魅力)は商品の新鮮さにある。これは直売所一般の魅力と共通し、朝採りをアピールすれば、1人当たり購入額も直売所店舗に近い1,000円が期待できる。
  5. 経営を軌道にのせるには、客の感想・要望にもとづき課題改善をおこなう。売上が停滞している事例と共同し、客の要望をもとに、まず実行可能な仮設店舗の諸改善を、次に月2回開設から最も要望が多い毎週開設をする店舗実験をおこなった(図4)。現在は売上が回復し、実験後も毎週開設することになり、顔なじみの客に定期・定点で改善を積み上げると徐々に効果が現れることが期待できる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:中山間地域に立地する農産物直売所の運営者
  2. 普及予定地域等:技術マニュアルの活用により、新規に10件程度の取り組みを見込む。
  3. その他:出張直売のポイントと取り組み手順を紹介した技術マニュアルを配布済み。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028083
カテゴリ 加工 経営管理 出荷調整 中山間地域

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