省力技術体系導入による大規模リンゴ作経営の成立条件

タイトル 省力技術体系導入による大規模リンゴ作経営の成立条件
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2014
研究担当者 長谷川啓哉
発行年度 2014
要約 リンゴ作経営において、摘花剤、無袋栽培、葉とらず栽培、収穫袋など省力技術体系を導入することによって、労働生産性、収益性を低下させずに規模拡大が図れ、他産業並の労働報酬を獲得することが可能である。
キーワード リンゴ作、省力技術、規模拡大、収益性、他産業並労働報酬
背景・ねらい 青森県の果樹栽培規模別農家数は、2005年から2010年にかけて、3ha が増減の分岐点となるなど、リンゴ地帯では大規模経営が中核的な担い手として期待されている。しかし、大規模リンゴ作経営の労働生産性は1980年代から停滞しており、収益性も他産業賃金よりかなり低い水準にとどまる。それゆえ、大規模経営の経済的成立条件の解明はリンゴ農業における喫緊の課題である。そこで、従来みられなかった10ha以上の大規模リンゴ作経営を対象に、規模拡大と高収益性を両立しうる技術的特質とともにその経営成果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 事例経営はリンゴ面積13.5haの大規模経営であり、常雇用(男性)が多く、継承した園地以外は分散しているが平坦地が多いこと、フォークリフトやバックホーなど建設機械、冷蔵庫、選果機などの装備が多いこと、小売業者及び消費者への直接販売が主であることが特徴である(表1)。
  2. 事例経営では以下の管理項目を中心に省力技術体系を構築する。整枝・剪定は、マルバ低樹高栽培、わい化半密植栽培のもとで、技術指導者(経営者)と雇用で共同作業を行う。摘果(摘花)は、摘花剤(石灰硫黄合剤)を使用する。無袋栽培により袋掛けは実施しない。着色管理は、葉とらず栽培導入により葉摘みをしない。収穫・調製は、両手で作業ができる首掛け式の収穫袋を用いて1度ですべての果実を収穫し、重量選果機により選果作業を行う(表2)。
  3. 10a当たり作業労働時間は、統計値よりも85.4時間少ない(比率で56%)。その内訳は、無袋栽培と葉とらず栽培による管理・袋掛け・除袋で42.9時間、収穫袋の利用、一斉収穫、選果の合理化による収穫・調製で20.5時間、摘花剤(石灰硫黄合剤)の使用による受粉・摘果で19.7時間、共同作業による整枝・剪定で7.2時間少ない(表3)。
  4. 単収は統計値と同程度のため、労働生産性は90%も高い(表4)。直接販売を行うため、販売費及び経営費は高いが販売単価も高く、10a当たり所得は統計値より54%多い。この結果、家族労働報酬額は2,214円/hrと高く、2010年の青森県平均男子恒常的賃金の1,184円/hrを上回り、他産業並労働報酬が確保されている。
成果の活用面・留意点
  1. 普及指導機関等において、大規模リンゴ作経営育成の参考になる。
  2. 省力技術体系導入には、葉とらずリンゴなどの販売条件の検討も必要になる。
  3. 大規模経営では技能的な剪定作業に常雇用を導入することとなる。剪定作業を細分化して雇用に任せる部分を明確にし、同時に経営者との協業で指導することが重要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028065
カテゴリ 規模拡大 経営管理 受粉 大規模経営 低樹高 りんご わい化

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