チモシーの高重合度フルクタンを合成・分解する酵素遺伝子群

タイトル チモシーの高重合度フルクタンを合成・分解する酵素遺伝子群
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究課題名
研究期間 2006~2014
研究担当者 田村健一
眞田康治
田瀬和浩
吉田みどり
川上顕
小松敏憲
山田敏彦
発行年度 2014
要約 チモシーの高重合度フルクタン代謝には、フルクタン合成酵素遺伝子であるPpFT1およびPpFT2、フルクタン分解酵素遺伝子であるPpFEH1が関与する。PpFT1およびPpFT2はスクロースにより、また、PpFEH1は刈取り処理後の基部において発現誘導される。
キーワード フルクタン、チモシー、酵素、遺伝子、重合度
背景・ねらい 可溶性多糖であるフルクタンは、貯蔵炭水化物としての機能のみならず、環境ストレス耐性への関与や、健康増進効果などの機能性が報告されており、植物代謝工学の対象物質の一つとして期待される。代表的な寒地型イネ科牧草の中で最も越冬性に優れるチモシーはほかの植物種と比較し高い重合度(100以上)の直鎖レバン型[β(2,6)結合型]フルクタンを蓄積するが、その酵素遺伝子は牧草をはじめとする作物のストレス耐性向上や有用物質生産へ利用できる可能性がある。そこでチモシーから高重合度フルクタン代謝に関わる合成および分解酵素遺伝子を単離し、その酵素化学的性質を明らかにするとともに、様々な条件下における発現様式を解析し、チモシーにおけるフルクタン代謝との関連を明らかにする。また合成酵素遺伝子については遺伝子組換えモデル植物の解析により代謝工学への利用可能性を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 関連酵素の保存領域配列を利用したcDNAライブラリースクリーニングにより単離したPpFT1およびPpFT2は、その酵母組換え酵素がスクロースから直鎖レバン型フルクタンを合成することから、スクロース:フルクタン-6-フルクトシルトランスフェラーゼをコードする(図1)。2つの酵素は異なる酵素化学的性質を示し、PpFT1はチモシー由来フルクタンと同程度の高い重合度のフルクタンを合成する(図1)。
  2. また、PpFEH1は、その酵母組換え酵素が特異的にチモシー由来直鎖レバン型フルクタンを分解することから、フルクタン6-エキソヒドロラーゼをコードする(図1)。
  3. PpFT1およびPpFT2は、フルクタン合成酵素活性およびフルクタンが増加するスクロース処理において遺伝子発現量が増加する(図2)。
  4. PpFEH1は、フルクタン分解酵素活性が増加しフルクタンが減少する葉部除去後の基部において遺伝子発現量が増加する(図2)。
  5. PpFT1を過剰発現させたムギ類のモデル実験植物であるミナトカモジグサ (Brachypodium distachyon)は矮性を示すが、低温生育条件下において単少糖含量が増加するとともにフルクタンを蓄積する(表)。この条件下における葉部の細胞レベルの耐凍性は野性株と比較し高い(表)。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究の成果はチモシーにおけるフルクタン代謝に関する基礎的知見として活用できる。同定した酵素遺伝子はフルクタンの代謝工学に利用できる。
  2. フルクタン合成酵素遺伝子の過剰発現は、宿主となる植物種によっては矮性を示す場合がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028033
カテゴリ 寒地 機能性

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