衛星データと水田区画データを用いた荒廃農地調査の踏査対象田の選別手法

タイトル 衛星データと水田区画データを用いた荒廃農地調査の踏査対象田の選別手法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2011~2014
研究担当者 福本昌人
吉迫宏
発行年度 2014
要約 多時期の衛星データと水田区画データを用いて荒廃している可能性のある水田を抽出し、それを荒廃農地調査における踏査対象田とする手法である。本手法により踏査対象田を事前に選別すれば、すべての水田を踏査する必要がなくなるので、踏査の省力化に資する。
キーワード 荒廃農地調査、衛星データ、NDVI、水土里情報
背景・ねらい 荒廃農地の発生・解消状況に関する調査(以下、荒廃農地調査)が市町村と農業委員会によって毎年行われている。この調査は、荒廃農地をもれなく把握するために市町村内のすべての農地を踏査(荒廃しているか否かの現地確認)する必要があり、多大な労力を要している。そこで、荒廃農地調査の踏査の省力化に資するため、広域の情報が得られる衛星データと水田区画データ(水土里情報の耕区GISデータ)を用いて踏査対象田を事前に選別する手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 踏査対象田の選別は次のように行う(図1)。まず、5月を含む多時期の衛星データから正規化植生指数NDVIの画像を作成する。次に、各NDVI画像に水田区画データを重ね、区画内に位置するピクセルのNDVI値の平均値(NDVI区画平均値)を算出する。さらに、荒廃していることがわかっている区画(荒廃既知区画)のNDVI区画平均値の最小値に基づき、観測日毎に閾値を設定する。最後に、各観測日ともNDVI区画平均値が閾値以上である区画を荒廃している可能性のある水田として抽出し、踏査対象田とする。
  2. 2010年に水田の利用状況を現地調査した茨城県の稲敷市と筑西市に位置する3つのエリア(図2)を対象に踏査対象田の選別を次のように行う。2010年の5月21日、7月22日、8月22・23日に観測された解像度6.5mのRapidEye衛星データ(一部、解像度10mのALOS衛星データ)を用いる。また、現地調査で把握した稲敷Aエリア内の荒廃水田を荒廃既知区画にして閾値設定を行う。その結果、各エリアともエリア内の荒廃水田はもれなく踏査対象田として選別され、かつ、水田全体に占める踏査対象田の割合は5~9%と小さく(表1)、踏査対象田を大幅に絞り込むことができ、踏査の省力化に資する(図3)。
  3. 筑西エリアでは、他のエリアと比べて、踏査対象田に占める荒廃水田の枚数割合は47%とやや低い(表1)。その原因は、冬作の麦の収穫後に大豆等の夏作物の作付けも雑草の刈り払いも行われなかった水田が30枚あり、その水田が夏場に雑草が繁茂した状態になっていたためである。
  4. 踏査時に踏査対象田の情報を利用する簡易な方法は、GISで大判用紙に印刷し、それを踏査に携行することである。また、例えば、現地調査アプリMaplet FS(日本コンピュータシステム株式会社)をインストールしたタブレット端末を踏査に携行し、衛星画像や航空写真オルソ画像に踏査対象田等を重ねて画面表示すれば(図3)、GPS位置情報で現在地を確認しながら踏査を行うことができる。
成果の活用面・留意点
  1. 本手法は、広域の荒廃農地調査において活用できる。
  2. ここでは当年の現地調査で把握した荒廃水田を荒廃既知区画にして閾値設定を行ったが、実場面では、前年の荒廃農地調査の結果を参照して荒廃既知区画を設定すれば良く、閾値設定のために別途に現地調査する必要はない。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027984
カテゴリ 雑草 省力化 GPS 水田 大豆 ブロッコリー

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