都市圏で暮らす高齢非農家住民の農作業参加構造

タイトル 都市圏で暮らす高齢非農家住民の農作業参加構造
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2013~2014
研究担当者 鬼丸竜治
石田憲治
合崎英男
片山千栄
発行年度 2014
要約 高齢非農家住民が健康づくりのため農作業へ参加しようとする場合、彼らの参加行動には参加意欲と参加能力が影響を与え、意欲には農作業に対する不安等5つの要因が影響を与える。参加を促すため高齢非農家住民に働きかける内容を検討する際の情報になる。
キーワード 高齢者、健康づくり、農作業、非農家、パス解析
背景・ねらい 高齢者の健康維持が社会保障政策上の重要な課題となる中、健康づくりのための適度な運動としての「農」が果たす役割への期待がある。これに対して農林水産省は、都市圏において健康づくりの場となる福祉農園の整備等を重点的に推進するとともに、政策目標として農園の利用者数の拡大を掲げている。高齢者のうち非農家の住民(以下「高齢非農家住民」という。)に、整備された農園を利用して貰うためには、彼らの農作業への参加行動を促す適切な要因に働きかけることが重要である。そこで、高齢非農家住民の農作業参加行動とそれに影響を与える諸要因との関係(以下「農作業参加構造」という。)を示す。
成果の内容・特徴
  1. 都市圏で暮らす高齢非農家住民が健康づくりのため農作業へ参加しようとする場合、彼らの農作業参加行動には、農作業参加意欲と農作業参加能力が影響を与える。また、農作業参加意欲には、農作業に対する健康面での受益意識、農作業に対する関心、農作業の必要性意識、農作業に対する不安、他者に対する信頼感がそれぞれ影響を与える。
  2. 図1は、上記の農作業参加構造を、パス解析を使って表現したモデルである。このモデルに、三大都市圏の高齢非農家住民800人から得た質問紙調査のデータを入力し、モデルとデータの適合度を評価する指標の値を計算すると、各指標は、適合が良い、または妥当であることを示している。このことから、上記の農作業参加構造は、現実のデータに適合していると評価することができる。
  3. 図1において、片方向の矢印の脇に示した数字は要因間の影響の大きさを表し、-1~+1の値をとる。農作業参加行動への影響の大きさを見ると、農作業参加意欲(0.54)の方が、農作業参加能力(0.24)よりも大きな影響を与えている。また、参加意欲には、農作業に対する不安が最も大きな影響(-0.27)を与えている。このことから、今回の被調査者について言えば、彼らの参加行動を促すためには、農作業に対する不安を減らす働きかけの内容から検討を始めると効果的であると考えられる。
  4. 図2は、図1と同じ被調査者を対象に、農作業に対する不安の具体的な内容について調査した結果である。図2を見ると、回答した被調査者の7割超が、「農作業をすると、疲れすぎたり、体に凝りや痛みがでたりするのではないか」という不安を抱いていることが分かる。このことから、彼らの不安を減らすためには、1)彼らが適度な運動であると納得できる範囲でどのような農作業を行って貰うのか、2)その作業を実際にどのような方法で行って貰うのか、について検討し、説明することが重要である。
成果の活用面・留意点
  1. 高齢者の農作業への参加を支援するため国が推進する技術開発において、「各種の農作業における身体への負荷量を、日常行う運動の負荷量と対比して示す手法」や「農作業の軽労化技術」を開発する必要性を示す基礎情報になる。
  2. 本成果で示した数値は特定の被調査者に関するものであること、また、本成果は影響の相対的に小さな要因への働きかけを否定していないこと、に留意する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027982
カテゴリ 軽労化

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