牛の乳房炎原因菌であるMycoplasma californicumの分子疫学解析法の開発

タイトル 牛の乳房炎原因菌であるMycoplasma californicumの分子疫学解析法の開発
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究課題名
研究期間 2013~2014
研究担当者 秦英司
鈴木幹一郎
羽生英樹
伊藤めぐみ
樋口豪紀
小林秀樹
発行年度 2014
要約 牛の伝染性乳房炎原因菌としてわが国で分離例が増加しているMycoplasma californicumの分子疫学解析法を確立し、感染事例を解析したところ、不顕性感染牛の見逃しや感染牛の清浄牛群への導入が本菌蔓延の主因として挙げられる。
キーワード 牛乳房炎、Mycoplasma californicum、分子疫学解析、不顕性感染
背景・ねらい 牛マイコプラズマ乳房炎は重篤な臨床症状と強い伝染力が特徴であり、治療効果が低い代表的な難治性牛疾病の一つである。近年、Mycoplasma californicumは北海道の大規模酪農場を中心に牛乳房炎乳から高い割合で分離されるようになり、M. bovisと同様に牛乳房炎の主要な原因菌として認識されつつあるが、その感染実態は不明な点が多い。そこで、本菌動態解析に有用な分子疫学解析法を確立するとともに、本疾病が特に問題となっている北海道内の感染事例について分子疫学解析を実施し、有用性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. M. californicum動態解析に有用なpulsed-field gel electrophoresis(PFGE)法を確立するため、本法に最適な制限酵素の選定、ならびに泳動条件を決定する。確立したPFGE法は分子疫学解析法に用いる上で十分な型別能を有し、20代継代後も再現性が確認され、in vivoにおいても一部亜型に変化したが、ほぼ再現性に問題はない(表1)。
  2. M. californicumゲノム中に存在する4か所の繰り返し配列領域(MCTRs: M. californicum tandem repeat)を探索し、本領域を用いた遺伝子型別法であるmultiple-locus variable-number tandem repeat analysis(MLVA)法を新たに確立する。本法はPCR法と単純な電気泳動により簡便に実施でき、PFGE法と同様に高い型別能と再現性を示す解析法である(表1、図1)。また、PFGE法と併用することによって、より詳細な分子疫学解析結果が得られる。
  3. 北海道内の感染事例から収集されたM. californicum分離株(22事例、185株)を用いてPFGE法ならびにMLVA法で解析した。その結果、本疾病が顕在化していない特定地域の複数農場において、同一遺伝子型のM. californicum株が数年にわたりバルク乳あるいは無症状個体乳から分離される(図2、事例5~11)。また、牛の移動が頻繁に認められる農場間でも同一遺伝子型のM. californicum株による牛乳房炎事例が確認される(図1、事例1~4)。これら感染事例から、不顕性感染牛の存在、また、牛導入に伴う感染牛の農場間での移動がM. californicumの主要な蔓延要因であると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究で確立した分子疫学解析法は、M. californicumの動態解析に有用である。
  2. M. californicumによる不顕性感染牛の見逃しや牛導入に伴う本菌の侵入を未然に防ぐため、バルク乳の定期検査や牛導入時の清浄性確認にマイコプラズマ検査の実施を提案する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027952
カテゴリ 乳牛

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