堆肥施用による採草地の炭素収支改善効果

タイトル 堆肥施用による採草地の炭素収支改善効果
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究課題名
研究期間 2004~2014
研究担当者 松浦庄司
宮田明
間野正美
寳示戸雅之
森昭憲
加納春平
佐々木寛幸
神山和則
波多野隆介
発行年度 2014
要約 採草地において、1番草は2~4番草や冬季と比べて年間の純生態系生産量に対する寄与が大きく、炭素蓄積にも重要な役割を果たす。牛糞堆肥の適切な連用により、生産量を確保しつつ採草地の炭素収支が改善できる。
キーワード 採草地、牛糞堆肥、純生態系生産量、炭素収支
背景・ねらい 家畜排泄物は、堆肥化して適切に草地に還元することにより、土壌改良や地力維持を図る有効な資源として活用できる。堆肥の施用は草地への炭素蓄積にも貢献していると考えられるが、日本の草地においては、牧草生育期ごとの炭素動態や堆肥施用が炭素収支に及ぼす影響についての情報が不足している。本研究は、化学肥料のみを施用する採草地(化学肥料区)および牛糞堆肥と化学肥料を併用する採草地(堆肥区)における牧草生育期ごとの炭素動態および堆肥施用が炭素収支に及ぼす影響を、微気象学的手法を用いて明らかにすることを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 堆肥連用年数に応じて化学肥料施用量を調節し、化学肥料区と堆肥区の養分供給量を同等(約200kg N/ha/year)にすることにより、両区で同程度の乾物収量(化学肥料区:9.4 t/ha/year、堆肥区:9.8 t/ha/year)を得ることができる。
  2. 1番草の純生態系生産量(NEP=総光合成量-生態系呼吸量)は2~4番草や冬季と比べて大きな正の値となり(図1)、年間のNEPに対する寄与が大きい(化学肥料区:54%、堆肥区:81%)。
  3. 各番草の炭素収支はNEPと収穫による炭素持ち出し量(H)との差(NEP-H)で表される。炭素収支は、概ね1番草では正の値、2および3番草では負の値、4番草ではほぼゼロとなり(図2)、1番草生育期のNEPは草地の炭素蓄積に重要な役割を果たしている。
  4. 年間の炭素収支は化学肥料区で−0.92 t C/ha/year、堆肥区で2.0 t C/ha/yearとなる(図3)。化学肥料区では草地から炭素が消耗されるが、堆肥区では草地に炭素が蓄積され、牛糞堆肥の適切な連用によって採草地の炭素収支が改善できる。
成果の活用面・留意点
  1. 化学肥料の使用量削減を可能にする、牛糞堆肥を用いた環境保全的草地管理技術に関する知見として活用される。
  2. 炭素動態モデル作成や温室効果ガスインベントリの基礎的なデータとなる。
  3. 関東北部のオーチャードグラスおよびイタリアンライグラスを主体とする採草地における結果である。
  4. 施用堆肥は木質系副資材を含む。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027919
カテゴリ イタリアンライグラス 管理技術 土壌改良

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