炭素繊維担体を利用した温室効果ガス発生量の少ない汚水浄化処理技術

タイトル 炭素繊維担体を利用した温室効果ガス発生量の少ない汚水浄化処理技術
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究課題名
研究期間 2010~2014
研究担当者 山下恭広
池本良子
横山浩
河原弘文
荻野暁史
福本泰之
長田隆
田中康男
発行年度 2014
要約 微生物が付着する炭素繊維担体を現行の活性汚泥処理施設の曝気槽に投入することにより、強力な温室効果ガスである一酸化二窒素の発生を抑制することができる。また、従来法よりも処理水中の窒素を大幅に低減できる。
キーワード 一酸化二窒素、微生物担体、硝酸性窒素、畜舎汚水、生物膜法
背景・ねらい 家畜排せつ物の主要な処理方法である堆肥化や汚水浄化からは強力な温室効果ガスである一酸化二窒素(N2O)やメタン(CH4)が発生しており、地球温暖化防止のために抑制技術の開発が急務となっている。
汚水浄化処理過程において、N2Oは硝化反応や脱窒反応が起きた場合にその一部がN2Oとなって放出されることが知られている。一方、炭素繊維は微生物の付着性が高いことから、活性汚泥法よりも微生物を長時間かつ高濃度に保持することが期待できる。そこで、炭素繊維担体を用いた生物膜法に着目し、汚水中に含まれるアンモニウムイオン(NH4+)を窒素ガス(N2)に転換する過程で発生するN2Oを削減する処理方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 炭素繊維(図1)は他のポリアミドやポリエチレン等の繊維状担体よりも微生物の付着性が高いことが知られている。炭素繊維に形成される生物膜は厚くなるため、好気性微生物のみならず、嫌気性微生物の保持も可能である。
  2. 従来法である活性汚泥処理では、曝気槽内の大部分が好気状態となっていることから、汚水中のNH4+は硝化反応によってNO3-までは転換されるが、その大部分は脱窒されずに処理液中に残存し、N2Oが放出されやすい状況になっている。一方、新たに開発した炭素繊維法では、曝気槽中の炭素繊維担体に付着した生物膜の表層で好気的な硝化反応が、また生物膜の深層で嫌気的な脱窒反応が連続して起こることにより、連続曝気条件下でもNH4+からN2ガスへの転換がスムーズに進行する。その結果、NO2-やNO3-が処理水中に蓄積しなくなり、過度のN2Oの放出が回避されると考えられる(図2)。
  3. 炭素繊維法は特別な施設を新たに設置する必要がなく、既存の活性汚泥処理施設への導入が可能である。曝気槽容積1m3当たり炭素繊維(標準弾性率タイプ、繊維直径7μm、繊維束12,000本)として0.2kgが取り付けられた担体を活性汚泥処理施設の曝気槽に投入することにより、温室効果ガス発生量は42 g-CO2 等量/m3/日となり、従来法の725 g-CO2 等量/m3/日よりも9割以上温室効果ガスを削減することが可能である(図3)。
  4. 炭素繊維法のBOD(有機物)処理能は活性汚泥法と同等以上であるとともに、NO2-やNO3-の液中残存量は顕著に少ないため、処理水中の窒素除去効果も期待できる(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:養豚農家
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:日本全国
  3. その他:農家によって汚水浄化処理施設の構造が異なるため、各施設に合わせたサイズ等の炭素繊維担体の設置が必要である。また、本技術は生物処理であることから、水温が15°C以下とならないよう管理を行うことが望ましい。現在、実規模装置での検証と運転条件の最適化を進めている。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027893
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