カーネーション花弁におけるクロロフィル蓄積の制御機構

タイトル カーネーション花弁におけるクロロフィル蓄積の制御機構
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所
研究課題名
研究期間 2011~2014
研究担当者 大宮あけみ
棚瀬幸司
八木雅史
平島真澄
山溝千尋
発行年度 2014
要約 一般的なカーネーション品種の花弁では、葉に比べてクロロフィル生合成活性が低く、かつ分解活性が高いため、クロロフィルが蓄積しない。一方、緑花品種の花弁では、生合成活性が葉と同程度に高いためクロロフィルが蓄積する。
キーワード カーネーション、クロロフィル、花色、遺伝子発現
背景・ねらい 植物は花弁にクロロフィルを蓄積すると、鮮やかな花色を発現できない。そのため、葉において多量に蓄積しているクロロフィルを花弁では蓄積しないように制御する仕組みを備えている。一方、園芸品種の中には、花弁にクロロフィルを蓄積する緑花品種が数多く存在する。ところが、どのようなメカニズムで、葉や花弁においてクロロフィルの蓄積量の違いが生じているのかに関する知見は皆無である。本研究では、葉や花弁においてクロロフィルの蓄積量の違いをもたらす機構を明らかにすることを目的とし、カーネーションの赤または白色の非緑色花弁(クロロフィルをほとんど蓄積しない) と緑色花弁(クロロフィルを少量蓄積する)、および葉(クロロフィルを多量に蓄積する)におけるクロロフィル代謝関連遺伝子の発現を比較し、花弁においてクロロフィル量を制御する機構について考察する。
成果の内容・特徴
  1. 「フランセスコ」の赤色花弁および「セイシェル」の緑色花弁に含まれるクロロフィル量は、「フランセスコ」の葉と比較してそれぞれ0.02%および7.9%である。
  2. マイクロアレイ解析の結果、「セイシェル」花弁では「フランセスコ」葉と同程度の生合成酵素遺伝子が発現しているのに対し、「フランセスコ」花弁では、全体的にクロロフィル生合成酵素遺伝子の発現が葉よりも低い傾向が認められる(図1)。特にクロロフィル生合成の鍵酵素であるMg-chelataseのHサブユニット(CHLH)とMg-protoporphyrin IX methyltransferase(CHLM)をコードする遺伝子の発現量が顕著に低い。
  3. クロロフィル分解に関与する遺伝子の発現は、「フランセスコ」と「セイシェル」の花弁では同様の傾向を示し、STAY-GREEN(SGR)とpheophytinase(PPH)をコードする遺伝子が葉と比較して顕著に高い(図1)。
  4. 緑花品種および白花品種の花弁における発現量をリアルタイムPCRにより比較すると、CHLHCHLMは緑色花弁で発現量が高いが、SGRPPHは花弁の色による発現量の違いは認められない(図2)。
  5. 以上の結果から、非緑色花弁においてクロロフィルがほとんど蓄積していないのは、葉と比較して生合成活性が低く、分解活性が高いためであると考えられる。また、緑色花弁では、非緑色花弁と比較して分解活性は変わらないが、生合成活性が高いためにクロロフィルが蓄積するようになったと考えられる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. マイクロアレイは、カーネーションのESTデータベース [Tanase K. et al. (2012) BMC Genomics13: 292] に基づき作成したカスタムアレイを用いた。このマイクロアレイを用いてカーネーションの種々の形質に関連した遺伝子の発現を解析することができる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027859
カテゴリ カーネーション データベース 品種

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