自発休眠に関わるDAM遺伝子はCBFを介して低温シグナル情報を受ける

タイトル 自発休眠に関わるDAM遺伝子はCBFを介して低温シグナル情報を受ける
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究課題名
研究期間 2013~2014
研究担当者 齋藤隆徳
白松齢
今井剛
伊東明子
中島育子
森口卓哉
発行年度 2014
要約 ニホンナシ「幸水」ではC-repeat binding factor(CBF)タンパク質を介して低温シグナルがdormancy-associated MADS-box(DAM)に伝達され、自発休眠中のDAMの発現が制御される。一方、DAMタンパク質はFlowering locus T(FT)の発現制御に関わっていない。
キーワード ニホンナシ、休眠、DAM、CBF、FT
背景・ねらい ニホンナシを含む落葉果樹では秋季に自発休眠に入り、ある一定量の低温に遭遇することで自発休眠状態から覚醒する。モモの休眠しないevergrowing変異体の原因遺伝子としてdormancy associated MADS-box(DAM)が同定された。ニホンナシのDAM(PpMADS13-1)の発現は休眠の誘導とともに高くなり、覚醒とともに低下することから、発現パターンが休眠相の転換と対応している。そこで、DAM(PpMADS13-1)の発現変化をもたらす制御機構の一端を明らかにすべく、PpMADS13-1のシグナル伝達経路を明らかにする。上流因子としては、ポプラやモモの研究からC-repeat binding factor(CBF)タンパク質が示唆されている。一方、下流の因子としては葉トウダイグサ等の研究からFlowering locus T(FT)が想定されている。しかしいずれにおいても直接的な証拠は示されていない。そこで、CBFタンパク質とFTPpMADS13-1遺伝子あるいはPpMADS13-1タンパク質と相互作用するかをDual-Luciferase Reporter Assay System(Luc Assay)により明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. ニホンナシ「幸水」には少なくとも5種類のCBF遺伝子が存在するが、休眠期間中の芽でPpMADS13-1と類似した発現パターンを示すPpCBF2に着目する。PpMADS13-1の上流領域には4カ所CBFの結合モチーフ(CRT/DRE motif)が存在している(図1a)。PpCBF2タンパク質が、これらPpMADS13-1の上流領域CRTモチーフに結合するかについてLuc Assayにより調べる。PpCBF2タンパク質はPpMADS13-1の上流領域の4種類のモチーフ(CRT1-4)と結合活性を示すが、CRT1のみでは示さない(図1b)。このことはCRT2-4のいずれかのモチーフにPpCBF2タンパク質が結合してPpMADS13-1の発現を正に制御している可能性を示唆している。
  2. 「幸水」には2種類のFTが存在している。PpFT1aの上流領域には5カ所、PpFT2aには2カ所 PpMADS13-1タンパク質の結合モチーフ(CArG motif)が存在している(データ省略)。PpMADS13-1タンパク質とFT上流領域との結合についてLuc Assayにより調べると、PpMADS13-1タンパク質はPpFT1aPpFT2aのいずれの上流領域のモチーフにも結合しない(図2)。PpFT1aPpFT2aの休眠期間中の発現パターンはPpMADS13-1と異なる(データ省略)ことからもPpMADS13-1タンパク質はFTの発現制御に関わっていないことが推察される。
  3. 以上より、図3に示すように、低温シグナルはPpCBF2タンパク質を介してPpMADS13-1に伝わるが、PpMADS13-1タンパク質はPpFT1a/PpFT2aの発現制御には関わっていないと考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. PpMADS13-1の上流や下流因子が明らかになれば、それら因子が低温要求量判定のマーカーとして活用できる可能性がある。
  2. PpMADS13-1タンパク質が制御する下流因子を特定できれば自発休眠機構の解明が進む。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027852
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