タイトル |
短期間の土壌乾燥ストレスがカキ果実の水分特性および果実品質に及ぼす影響 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 |
研究課題名 |
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研究期間 |
2010~2013 |
研究担当者 |
薬師寺博
杉浦裕義
東暁史
山﨑安津
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発行年度 |
2014 |
要約 |
カキ果実の生育ステージが進むにつれて果実の水ポテンシャルと浸透ポテンシャルは低下し、膨圧は高まる。短期間の土壌乾燥ストレスは、幼果期のカキ果実の水分特性および果実品質に強く影響を及ぼし、着色期では影響が少ない。
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キーワード |
カキ、水ポテンシャル、浸透ポテンシャル、膨圧、等圧式サイクロメーター
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背景・ねらい |
カキの根域制限栽培は、果実の生育ステージ別の水分管理が重要である。しかし、土壌乾燥ストレスが果実の水分特性および果実品質に及ぼす影響は未解明である。そこで、果実の生育ステージ別に、かん水停止後の土壌乾燥ストレス状態が、葉および果実の水ポテンシャル、浸透ポテンシャルおよび膨圧に及ぼす影響を評価するとともに、短期間の土壌乾燥処理が果実品質に及ぼす影響を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 等圧式サイクロメーターを用いて、カキの葉および果実(果肉)の水ポテンシャルおよびその構成要素である浸透ポテンシャルと膨圧を計測した。幼果期から着色期までの生育ステージにおいても、早朝時の葉の水ポテンシャルが-0.7~-0.8 MPa以下になるとかん水停止区の葉の膨圧が低下し始め、乾燥ストレス状態になる(データ略)。
- 果実の水ポテンシャルは、生育ステージが進むに従って低下する一方、膨圧は増加傾向を示す(図1)。
- 幼果期の果実は、かん水停止後に水ポテンシャルは低下するが(図1のA)、浸透ポテンシャルの低下は水ポテンシャルのそれより少ないため、膨圧はほぼ0 MPaとなる(図1のB)。
- 夏期の果実では、短期間の土壌乾燥処理による水ポテンシャルの低下はないが、浸透ポテンシャルは高まり、膨圧はやや低下する(図1のC、D)。着色期の果実では、土壌乾燥が進行しても、かん水区と土壌乾燥区の水ポテンシャル、浸透ポテンシャルおよび膨圧の差はほとんどない(図1のE、F)。
- 短期間の土壌乾燥処理が果実品質に及ぼす影響は、幼果期で最も大きく、乾燥ストレスによって果実肥大が抑制され、果実硬度が低下する(表1)。夏期では果実肥大への影響はないが、可溶性固形物含量(SSC)と果実硬度が低下する。着色期では短期間の土壌乾燥処理による果実品質への影響はほとんどない。
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成果の活用面・留意点 |
- カキ根域制限栽培に適した養水分管理技術の開発において、果実の生育ステージ別の水分管理法の基礎的資料になる。
- 長期間の土壌乾燥ストレスが果実品質に及ぼす影響について、今後検討する必要がある。
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URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027840 |
カテゴリ |
かき
乾燥
管理技術
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