単一花粉PCRによる花粉側自家和合性系統415-1が生産する和合性花粉の検出

タイトル 単一花粉PCRによる花粉側自家和合性系統415-1が生産する和合性花粉の検出
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究課題名
研究期間 2009~2014
研究担当者 間瀬誠子
澤村豊
髙田教臣
西尾聡悟
山本俊哉
齋藤寿広
池谷祐幸
発行年度 2014
要約 ニホンナシの花粉側自家和合性系統415-1の花粉一粒のDNAを鋳型にPCRを行い、各花粉のS遺伝子と複数のSSRマーカーの遺伝子型を同時に解析することにより、和合性花粉を検出できる。415-1は2種類のS対立遺伝子を含む和合性花粉を約16%生産している。
キーワード ニホンナシ、単一花粉PCR、花粉側自家和合性、S遺伝子、SSRマーカー
背景・ねらい ニホンナシ果実の安定生産上必要とされる、人工受粉作業に関わるコストと労力を軽減するため、自家和合性品種の育成が求められている。新たな自家和合性育種素材として育成された花粉側自家和合性系統415-1はS5遺伝子を含む染色体の一部が重複しているため、自家不和合性遺伝子(S遺伝子)型はS4S5S5であり、自家和合性のS4S5花粉を生産すると推定されている(2013年度研究成果情報「ニホンナシ花粉側自家和合性突然変異体415-1の自家和合化の原因」)。本系統を交雑に用いた後代からの、花粉側自家和合性品種および受粉専用品種育成においては、S4S5花粉の生産割合および受精能力が重要な選抜基準になる。そこで、単一花粉PCRにより415-1の花粉におけるS 遺伝子の遺伝子型を直接判定する方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. ニホンナシ系統415-1の乾燥花粉を、2倍濃度のPCR緩衝液中に分散させ、実体顕微鏡下でマイクロピペッターを用いて一粒ずつ取り出す。各花粉からDNAを抽出し、マルチプレックスPCRキットを用いてPCR反応を行う(図1)。
  2. 染色体の一部が重複しているため、415-1ではS遺伝子およびS遺伝子に強く連鎖する2種類のSSRマーカー(NH014a、NZmsEB137525)に対立遺伝子がそれぞれ3個存在する。S4S5花粉に2個の対立遺伝子が遺伝する、上記の3種類のマーカーをS4S5花粉検出に用いる。一方、415-1では重複していないため全ての花粉に1個の対立遺伝子だけが遺伝する、S遺伝子とは連鎖しないSSRマーカー(CH04c10)を、花粉一粒について遺伝子解析したことを確認するために用いる。
  3. S4遺伝子および全てのSSRマーカーから各1個の対立遺伝子が検出された花粉をS4遺伝子型、S5遺伝子および全てのSSRマーカーから各1個の対立遺伝子が検出された花粉をS5遺伝子型と判定する。415-1で重複しているS遺伝子座、NH014aおよびNZmsEB137525について各2個の対立遺伝子および重複していないCH04c10では1個の対立遺伝子が検出された花粉をS4S5遺伝子型と判定できる(図2)。
  4. S遺伝子型が判定できた415-1の花粉の約6%がS4遺伝子型、78%がS5遺伝子型、16%が重複S5遺伝子を含むS4S5遺伝子型を示す(図3)。
  5. 415-1から花粉と後代実生に遺伝した各S遺伝子型の割合はほぼ同じである(図3)。従って、和合性のS4S5花粉の割合は花粉成熟時点でS5花粉より少ないが、通常(S遺伝子1個)の花粉と同程度の受精能力を有すると推定される。
成果の活用面・留意点
  1. S遺伝子が重複したため、自家不和合性から花粉側自家和合性に変異した植物が、S対立遺伝子を2個持つ和合性花粉を生産していることを、花粉の遺伝子型を直接解析して明らかにした初めての成果である。
  2. 415-1で重複していないSSRマーカー(CH04c10)により2個の対立遺伝子が検出されたデータは、葯組織または2粒の花粉からDNAが増幅されたものとし、解析から除外する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027833
カテゴリ 育種 乾燥 コスト 自家和合性品種 受粉 品種

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