「タカナリ」の脱粒性を改善した中生の多収性水稲新品種「オオナリ」

タイトル 「タカナリ」の脱粒性を改善した中生の多収性水稲新品種「オオナリ」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究課題名
研究期間 2008~2014
研究担当者 小林伸哉
石井卓朗
山口誠之
平林秀介
竹内善信
後藤明俊
黒木慎
田中淳一
常松浩史
加藤浩
春原嘉弘
安東郁男
根本博
太田久稔
前田英郎
佐藤宏之
池ヶ谷智仁
津田直人
発行年度 2014
要約 「オオナリ」は多収性品種「タカナリ」の突然変異系統で、温暖地東部では熟期が"中生の早"に属する粳種である。原品種「タカナリ」に比べて脱粒性が改良されているため、収穫時の収量損失が少なく、粗玄米収量は約7%多収となる。
キーワード イネ、多収、飼料用米、脱粒性
背景・ねらい 飼料用米生産の推進に伴い、多収性品種の作付けの拡大に向けた取組みが進められている。温暖地向きの多収性品種としては「タカナリ」が育成され利用されてきた。しかし「タカナリ」は脱粒しやすく、刈り遅れた場合など収穫期の収量ロスが多い。そこで、「タカナリ」の脱粒性を改良した品種の育成を行う。
成果の内容・特徴
  1. 「オオナリ」は、多収性品種「タカナリ」のγ線照射による突然変異個体から選抜された粳種である。
  2. 育成地における出穂期、成熟期は「タカナリ」と同じ"中生の早"に属する(表1)。
  3. 稈長、穂長は「タカナリ」並、穂数は「タカナリ」並かやや多く、草型は"穂重型"である(表1、図)。
  4. 籾の脱粒程度に関わる曲げ応力が大きく、脱粒性は「タカナリ」の"易"に対し "中"に改良されている(表1、表2)。
  5. 脱粒性の改良により収穫期の収量ロスが少なくなるため、粗玄米収量は早植・多肥区で94.0kg/aと高く、「タカナリ」に比べて7%程度多収となる(表1)。
  6. 耐倒伏性は "極強"、穂発芽性は"極難"、 耐冷性は"極弱"で、いずれも「タカナリ」並である(表1)。
  7. いもち病真性抵抗性遺伝子型は、PiaPibPita-2Pi20のうち複数の遺伝子を持つと推定される。圃場抵抗性は、葉いもちは"弱"、穂いもちは不明である。白葉枯病抵抗性は"中"である。縞葉枯病には"抵抗性"である(表1)。
  8. 玄米の外観品質は「タカナリ」並で、「日本晴」より劣る"下上"である(表1)。粒形はやや細長く、食用品種と識別が可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 栽培適地は関東以西である。栃木県宇都宮市内で「タカナリ」に替えて数haの普及が見込まれる。
  2. 耐冷性が弱いため、冷害の恐れのある地域での栽培は避ける。
  3. 種子の休眠性が深いため、播種に際して休眠打破などの処理が必要である。
  4. いもち病は真性抵抗性により通常発生しないことが多いが、圃場抵抗性は弱のため、種子消毒等慣行防除を徹底するとともに、侵害菌の発生に注意し、罹病した場合は防除する。
  5. トリケトン系4-HPPD阻害型除草成分(ベンゾビシクロン、テフリルトリオン、メソトリオン)に感受性が高いため、それらを含む除草剤は使用しない。
  6. 苗丈がやや短いので、育苗時や田植え後に冠水しないよう水管理に留意する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027820
カテゴリ 育苗 いもち病 縞葉枯病 種子消毒 飼料用米 新品種 除草 除草剤 多収性 抵抗性 抵抗性遺伝子 凍害 播種 品種 防除 水管理

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