昇温処理でのダイズの群落コンダクタンスの低下は気温よりも飽差の影響が大きい

タイトル 昇温処理でのダイズの群落コンダクタンスの低下は気温よりも飽差の影響が大きい
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2014
研究担当者 中野聡史
本間香貴
白岩立彦
発行年度 2014
要約 温暖化を想定した3°C程度の昇温処理では、湿度を制御しない場合、気温の上昇に付随して生じる飽差の上昇の影響により、ダイズの群落コンダクタンスが低下する。
キーワード 温暖化、飽差、群落コンダクタンス、ダイズ
背景・ねらい 温度勾配チャンバー(TGC)を用いた昇温処理は群落レベルで試験が行えるため、温暖化によるダイズ生産への影響を評価するのに有効である。将来の温暖化環境を想定したTGC試験では、温暖地における3°C程度の気温上昇が気孔コンダクタンスの低下により物質生産能を低下させ、その結果、子実収量を低下させることが明らかにされている。しかし、気温の上昇に付随して飽差も上昇しており、また気孔コンダクタンスは飽差の影響を受けるため、気温の上昇と飽差の上昇は区別して評価する必要があるが、通常両者は同時に起こるため区別した評価は難しい。そこで、TGC試験において、気孔コンダクタンスの変化を強く反映する群落コンダクタンスを連続的に算出し、気温および飽差の変化に対する応答を解析することで、気温と飽差が群落コンダクタンスに及ぼす影響を区別して評価する。
成果の内容・特徴
  1. 群落コンダクタンスは群落蒸散速度から算出され、群落蒸散速度は茎内流の変化から個体蒸散速度を測定する茎内流量法を用いることで、大気および土壌環境を乱すことなく連続的に測定できる。
  2. 低温区(外気温に相当)から気温を3°C程度上昇させた高温区の群落コンダクタンスは、高温になる日中ではなく、6~9時の午前中に低温区より有意に低下する。一方、日中および午後における群落コンダクタンスは高温区と低温区でほぼ差がみられない(図1)。
  3. 群落コンダクタンスと気温の関係は、全データを用いると有意な負の相関を示すが、飽差の水準でグループ化すると、両者の間に有意な相関を示さないグループが多い。一方、気温の水準で同様にグループ化すると、群落コンダクタンスと飽差は有意な負の相関を示すグループが多い。したがって、高温区における群落コンダクタンスを低下させる要因は、気温の上昇よりも付随して発生する飽差の上昇による影響が大きいと考えられる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は、温暖化による群落コンダクタンスへの影響評価において、温度上昇と飽差上昇の影響を区別して評価することの重要性を示したものである。飽差とは飽和水蒸気圧と空気中の水蒸気圧との差であり、大きいほど空気が乾燥していることを示す。
  2. 群落コンダクタンスは気孔コンダクタンスと葉面境界層コンダクタンスを含んだ値であるが、TGC内では葉面境界層コンダクタスの変化が小さいため、群落コンダクタスの変化は気孔コンダクタンスの変化を表す。気孔コンダクタスは葉の気孔、葉面境界層コンダクタンスは葉の表面と大気との間のガス交換のし易さを表す。
  3. 本成果は、京都市において、放射熱およびヒーターにより温度勾配を発生させたビニールハウス(TGC)内で、土壌水分ストレスが生じないように潅水を十分に行った条件での試験で得られた結果である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027808
カテゴリ 乾燥 大豆 土壌環境

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