伸長反応1秒PCRによるQoI剤耐性イネいもち病菌の診断

タイトル 伸長反応1秒PCRによるQoI剤耐性イネいもち病菌の診断
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2013~2014
研究担当者 早野由里子
林敬子
芦澤武人
鈴木文彦
発行年度 2014
要約 イネいもち病菌のQoI剤耐性を診断するために開発した、チトクロームb遺伝子の点変異多型を検出するPCRマーカー2種(B428gSおよびB428gDC)は、伸長反応1秒としたPCRによりそれぞれ3時間以内にQoI剤耐性変異の検出が可能である。
キーワード イネ、いもち病菌、QoI剤耐性、伸長反応1秒PCR、検出
背景・ねらい 植物病原菌の薬剤耐性の獲得は、薬剤のターゲットとなる生体物質の遺伝子の点変異によることが多い。このため、薬剤耐性菌の遺伝子診断では、Polymerase chain reaction (PCR)をベースにした点変異の検出が主流となっている。しかし、点変異多型(single nucleotide polymorphism)を1回のPCRのみで安定的に検出することは難しく、多くの場合Fnu4HI等の高価な制限酵素処理を組み合わせた方法が取られている。そこで、点変異多型検出の不安定さを克服し、迅速かつ安価で高精度な、ストロビルリン系殺菌剤(QoI剤)耐性イネいもち病菌の遺伝子診断のためのマーカーおよび検出法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 本検出法で使用する2種のマーカーB428gSおよびB428gDCは、アミノ酸変異(G143A)に関わるチトクロームb遺伝子428番目の塩基変異をターゲットとする(図1a)。
  2. 目的断片の増幅の確実性を向上のため、PCRにおける伸長反応時間を1秒に設定する(図2a)。その結果、PCR時間を1時間に短縮する(図2b)。
  3. 2種のマーカーは目的により使い分ける。4種のプライマーから構成されるduplexマーカーB428gSは時間の短縮を、2種のプライマーから構成されるdCAPSマーカーB428gDCは判別の精度を優先する場合に使用する。
  4. duplexマーカーB428gSは1回のPCRのみで野生(感受性)型と耐性型を同時に判別する。野生型は208bp、耐性型は173bpの断片の増幅が見られる(図1b上および図2b)。
  5. dCAPSマーカーB428gDCは、PCRと制限酵素PvuII処理の2段階の反応で得られる、239bp断片のみ(野生型)、204bpおよび35bpの2つ断片(耐性型)により判別する(図1b下および図2b)。
  6. 本検出に用いるDNAは市販キット等により調整されたDNAの他、簡易調整法であるPaper-Disc法(早野ら,2015)により調整されたDNAも使用できる(図1b)。
成果の活用面・留意点
  1. 本法とPaper-Disc法の組み合わせにより、QoI剤耐性イネいもち病菌の効率的なスクリーニングが可能となる。Paper-Disc法の詳細は、早野ら(2015)日本植物病理学会報,81(2)(印刷中)を参照されたい。
  2. 使用するPCR酵素はTaq HS(TAKARA、R007A)と同様に、HotStart有および校正機能無の、校正機能有PCR酵素に比べ4~18円/検体の比較的安価なものを推奨する。
  3. PCRの所要時間はPCR機器および酵素により若干前後する。
  4. 制限酵素PvuIIは、活性至適塩濃度が一般的なPCRバッファーの塩濃度に近く、PCR後の塩濃度調整を要しない。また、価格はFnu4HIの約1/32(2014年12月現在)と安価である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027798
カテゴリ いもち病 耐性菌 薬剤 薬剤耐性

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