有機栽培転換初期のニンジン・レタス収量の特徴とその要因

タイトル 有機栽培転換初期のニンジン・レタス収量の特徴とその要因
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2008~2014
研究担当者 建部雅子
唐澤敏彦
駒田充生
佐藤文生
西村誠一
高橋茂
加藤直人
発行年度 2014
要約 窒素の無機化が速やかな市販有機質肥料を用いた有機栽培では、転換初期でも窒素不足による作物収量の低下がみられない。これにより栽培した転換期のニンジン収量は、主に虫害等で低下し、レタス収量はリン酸栄養の改善により慣行よりも高まることがある。
キーワード 有機栽培、有機質肥料、窒素無機化、ニンジン、レタス
背景・ねらい 野菜の有機栽培を容易にする技術の開発が求められている。本研究では、有機栽培を実践する農家の栽培管理体系等を参考に、ニンジン、レタスを主とした栽培体系の実証試験を行い、作物の生産性が不安定とされる有機栽培転換初期における収量や養分吸収の推移を慣行栽培と比較する。これにより、有機栽培転換期のニンジン、レタスの安定生産に必要な情報となる生育・収量や養分吸収の慣行栽培との違いとその要因を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. ニンジン収量に対する有機・慣行栽培の影響は、2009年のみ有機区で収量が劣るなど、年次によって現れ方が異なる(表1)。2009年の有機区の低収は、主にヨトウガの被害によるもので、そのような被害がなかった年次には、有機質肥料施肥と慣行施肥との間で収量に差がない。また、堆肥の施用により、ニンジンの収量は高くなる傾向にある。
  2. レタスの収量は、3年間を通して、慣行区よりも有機区で高い(表2)。また、堆肥の施用も、レタスの収量を高める。
  3. 今回用いた市販有機質肥料は、夏の露地や冬のマルチ・トンネル下で窒素無機化(有効化)が速やかなため(図1)、これを用いた夏まきニンジン露地栽培や、冬のレタスのトンネル・マルチ栽培では、窒素栄養不足は有機区の生育・収量が慣行区より劣る要因とはならない(表1,2)。
  4. レタス収穫1、2週間前の地上部乾物重は、生育初期の地上部リン含有率と有意な正の相関があり、いずれも慣行区よりも有機区で、また堆肥無施用区よりも施用区で優る(図2)。このことから、レタス収量が有機区や堆肥施用区で優った原因として、有機質肥料や堆肥の施用によるリン酸栄養の改善が考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. ニンジン・レタスの有機栽培を行う際の施肥などの参考とする。
  2. 本成果は、7~8月播種、11~12月収穫のニンジンの露地栽培と1~2月定植、4月収穫のレタスのトンネル・マルチ栽培の年2作体系で得られたものである。
  3. 用いた有機質肥料は、フェザーミール、魚かす、ナタネ油かす等の有機質資材を原料にして造粒製造した市販の有機JAS適応可能銘柄である。このような即効性の市販有機質肥料の代わりに、分解が遅い他の有機物を利用する際には、転換初期に窒素不足由来の低収が生じる可能性がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027793
カテゴリ 栽培技術 栽培体系 施肥 なたね にんじん 播種 レタス

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