雇用確保を図る集落営農の組織運営における野菜導入のポイント

タイトル 雇用確保を図る集落営農の組織運営における野菜導入のポイント
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2014
研究担当者 高橋明広
発行年度 2014
要約 雇用確保を図る集落営農では、機械化を通じた省力化・生産性向上が可能な野菜作導入による収益性向上と併せて、省力化により組織関与が低下した構成員の組織参加が可能となる分業体制の採用が重要である。
キーワード 集落営農、雇用、野菜導入、分業体制、組織運営
背景・ねらい ぐるみ参加の集落営農では、高齢化が進む中で将来の担い手確保のための雇用導入が増えている。雇用導入に伴い効率性・収益性を優先すると、構成員の組織参加機会の減少や土地持ち非農家化が進み、構成員の貢献意欲低下などの問題が発生する。そこで、野菜導入により雇用者確保に向けた収益性の向上を図るとともに、構成員の組織参加の場の提供を通じた土地持ち非農家化の回避が重要な課題となっている。
成果の内容・特徴
  1. (農)A法人(99戸、65ha、ぐるみ参加型)は、北陸の安定兼業平坦水田地帯に位置し、構成員の高齢化を念頭に2012年に構成員子弟の40歳男性1名を雇用した。設立当初から、V溝直播等による耕種作の省力化を図る一方で、耕種作の省力化により出役が減少した高齢者等の組織参加の場として、大根、ネギ等の多品目の野菜を栽培していた。雇用導入後は、収益性向上の必要から、野菜は黒大豆枝豆等の一部に特化している。
  2. 2006年の大根、ネギ等の販売額90万円と比べると、黒大豆枝豆は2014年には800万円(2.4ha)に達し、高い収益性を実現できている。その理由は、1)地場産枝豆が少なく黒大豆枝豆による商品差別化、2)地域内の20の集落営農で耕耘同時畝立てマルチ播種機等の共同利用による播種等の基幹作業の機械化と投資負担軽減、早期栽培(4月上旬播種、7月上旬~9月上旬収穫)実現による収穫期間の延長、3)JAによる冷凍枝豆加工施設での規格外品の商品化や東京市場への販路拡大がある。
  3. 雇用導入に伴い50歳以下の兼業オペレータの出役は大幅に減少(932時間から50%減の462時間へ)し、多人数体制から60歳代のベテラン作業者2名と雇用者による少人数体制に移行している(図1)。
  4. 黒大豆枝豆の年代別出役状況を整理(表1)すると、黒大豆枝豆の出役の89%が60歳以上で選別を中心に従事し、その労賃獲得や組織参加の重要な場となっている。また、60歳以上の補助作業出役は黒大豆枝豆の面積拡大後に増大し、300時間/年を越える出役や70歳代での出役時間の増加も確認できる(図2)。加えて、出役が減少した50歳代以下が除草、収穫作業等に出役している(表1)。その作業時間は3時間未満が大半である。耕種作への出役は終日拘束されるが、黒大豆枝豆の作業は兼業従事に支障を来さない範囲で早朝に出役が可能で、50歳代以下の兼業従事者が60歳以上の組織参加を支援する体制が取られている。
  5. 機械化を通じた省力化・生産性向上が期待できる野菜作の導入と併せて、組織への関与が減少した構成員の組織参加が可能な分業体制の採用が雇用確保に向けて高収益野菜の導入を図る集落営農のビジネスモデル構築に重要となる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 上記の仕組みを含めた集落営農のビジネスモデルに関する冊子を作成・配布する予定。
  2. 平坦水田地域のぐるみ参加の集落営農を対象としている。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027788
カテゴリ 加工 機械化 省力化 除草 水田 大豆 ねぎ 播種

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