タイトル | 全国のサクラ栽培品種の遺伝資源管理に貢献する |
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担当機関 | (独)森林総合研究所 |
研究課題名 | |
研究期間 | |
研究担当者 |
吉丸 博志 勝木 俊雄 岩本 宏二郎 加藤 珠理 松本 麻子 |
発行年度 | 2015 |
要約 | 全国の主要なサクラ集植機関が保有する主要な伝統的栽培品種を、DNA 解析等により正確に識別分類することにより、全国的なサクラ遺伝資源の管理体制をつくることができました。 |
背景・ねらい | 全国の主要なサクラ集植機関で栽培されている伝統的栽培品種を広く調査し、花などの形態解析とDNA 解析によって正確な識別を行いました。これらの解析を効率的に行うために、過去の研究で用いた多数のマーカーのうち特に多型性が高い9つのマーカーを組み合わせることで十分な精度の識別ができることを確認しました。全国の主要なサクラ集植機関から選んだ約590 の栽培品種個体について、この手法を用いて解析した結果、すでに正確な分類が完了している3 つの機関の栽培品種のクローンと一致するもの約410 個体と、そこには保存されていないもの約180 個体に分類されました。前者については正確な名称が確定し、後者については今後の保存の重要性が指摘できました。 |
成果の内容・特徴 | 研究の背景 長い歴史を持つサクラの伝統的栽培品種については、分類と識別に多くの混乱がみられていました。私たちは、これまでに、花などの形態解析と遺伝子解析を組み合わせた正確な識別技術を開発し、森林総合研究所多摩森林科学園、国立遺伝学研究所、新宿御苑に収集されている多数の栽培品種について正確な分類を実行しました。全国にはこの他にも重要なサクラ集植機関があり、サクラ遺伝資源の正確な識別に基づく適切な管理体制の構築が望まれていました。 効果的なDNA マーカーの組合せ 効率よく、正確に識別を行う手法をまず検討しました。これまでは、26 座のDNA マーカーが必要でしたが、特に多型性の高い9 座のマーカーセットを用いることで、同等の精度の識別が可能であることを確認しました。 全国の主要なサクラ集植機関の調査 今回、重要なサクラ集植機関として選んだのは、北海道松前町松前公園、東大日光植物園、日本花の会結城農場、東大小石川植物園、東京都神代植物園、東京都小金井公園、石川県林業試験場、京都府立植物園、京都御所、京都御苑、植藤造園、大阪市大植物園、福岡市植物園、熊本市監物台樹木園などです(図1)。これらのサクラ集植機関で収集している栽培品種のうち約590 個体について、上記の手法を用いた遺伝子解析および形態解析を行った結果、既に調べた3つの機関で保存されている栽培品種のクローンと一致するものが約410 個体(図2)、3 つの機関にある品種とは異なるものが約180個体(図3)という結果になりました。前者は、地域や機関により様々な名前で呼ばれていましたが、今回の解析で正確な栽培品種名が確定できました。また、後者は、今回調査した機関だけで保存されている栽培品種であることが分かりましたので、それらの品種を絶やさないよう保存することの重要性をそれぞれの集植機関に指摘しました。 サクラ遺伝資源の管理体制の構築 2014 年2 月に「サクラ系統保全のための集植機関担当者による情報交換会議」を招集して、この研究の意義を広報し、成果の活用法に関する意見交換を行いました。また、メーリングリストを通じて、この研究成果を各機関のサクラ遺伝資源管理に活用できるよう、担当者との間で随時情報交換を開始しました。 本研究は、科学研究費補助金(24380087)「全国を網羅するサクラ栽培品種の遺伝的識別・系統解析による遺伝資源管理体制の構築」による成果です。 |
URL | http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027764 |
カテゴリ | 遺伝資源 さくら DNAマーカー 品種 |
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