タイ、ラオスの淡水魚発酵調味料の品質に影響する塩分濃度と発酵期間の重要性

タイトル タイ、ラオスの淡水魚発酵調味料の品質に影響する塩分濃度と発酵期間の重要性
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2015
研究担当者 丸井淳一朗
Sayvisene Boulom
Wanchai Panthavee
Gassinee Trakoontivakorn
Plernchai Tangkanakul
楠本憲一
発行年度 2014
要約 タイ、ラオスに共通する淡水魚発酵調味料の塩分濃度、pH、乳酸含量には地域性がある。製品中の主要乳酸菌種は、塩分が10%より高い製品では耐塩性乳酸菌、それより低い製品では乳酸桿菌となる。主に乳酸桿菌を含む製品で乳酸含量が高い傾向が見られる。うま味成分のグルタミン酸含量は発酵の経過に伴い増加する。
キーワード 淡水魚発酵調味料、塩分、乳酸菌、グルタミン酸、発酵期間
背景・ねらい タイ、ラオスでは、淡水魚を塩、米糠などと混ぜ常温で半年以上発酵させる伝統的な発酵食品(タイ名:プララー、ラオス名:パデック)が地域の食生活に不可欠な万能調味料として広く普及し、保存性の高いタンパク源としても重要である。好まれる味、風味には地域性があるとも言われている。その生産は古くからの自家製に加え、販売用の工業生産も一般化しつつあり、品質向上への意識や発酵に関与する微生物への関心が高まっている。微生物の網羅的な同定と特徴的な呈味成分の数値化により(図1)、品質の地域性や、これまで経験的に受け継がれてきた製法の合理性についての科学的根拠を生産者、消費者とも共有して品質・生産性の向上、消費拡大への取り組みを促進し、地域食料資源の活用、高付加価値化を図る。
成果の内容・特徴
  1. タイ北部、中部、東北部およびラオス(ビエンチャン)で生産された10種の製品には、それぞれ複数種(2~8種類)の乳酸菌が存在する(図2A)。
  2. 製品中の塩分濃度、pHには地域性があり、塩分が低いものほどpHが低い傾向がある(図2B)。
  3. 塩分が10%より高い製品では耐塩性乳酸菌(Tetragenococcus属)、それより低い製品では乳酸桿菌(Lactobacillus属)が主要な乳酸菌種となり、後者で乳酸含量が高い傾向がある(図2B)。
  4. 一般的な製法で調製した製品を用いて、うま味成分であるグルタミン酸の含量を測定したところ、発酵の経過に伴い4~6か月目まで増加する(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 淡水魚発酵調味料の生産において、塩分は呈味成分(塩味)であることに加え、主要乳酸菌種とそれに伴う乳酸含量、更には品質の地域性を決定する重要な因子であり、今後は嗜好性との関連を検討すべきである。
  2. 品質の重要な指標である塩分濃度およびpHについて、生産者に試験紙等による簡易的な測定方法を普及することで、品質・生産性を向上できる。
  3. 過度の酸味の発生(酸敗)が生産時に問題となることがあるが、生産者は塩分含量を適切に管理し、乳酸桿菌の過度の増殖を防ぐことで改善し得る。
  4. うま味成分(グルタミン酸)が発酵の経過に伴って一定期間増加するため、生産者は発酵期間の管理に配慮すべきである。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027727
カテゴリ 高付加価値 消費拡大

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