4種類のAREB/ABFは3種類のSnRK2の下流で乾燥ストレス耐性を制御する

タイトル 4種類のAREB/ABFは3種類のSnRK2の下流で乾燥ストレス耐性を制御する
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2007~2014
研究担当者 吉田拓也
藤田泰成
圓山恭之進
最上惇郎
戸高大輔
篠﨑一雄
篠崎和子
発行年度 2014
要約 AREB/ABF型転写因子は、陸上植物に広く保存されており、乾燥ストレス応答を制御する鍵因子である。シロイヌナズナの3種類のSnRK2タンパク質リン酸化酵素の下流で機能する4種類のAREB/ABF型転写因子は乾燥ストレス耐性の向上において主要な役割を果たしている。
キーワード 干ばつ、乾燥ストレス耐性、転写因子、タンパク質リン酸化酵素
背景・ねらい 近年、大規模で深刻な干ばつが作物生産に甚大な被害を及ぼしており、干ばつ耐性作物の作出は急務となっている。これまでにイネやシロイヌナズナの乾燥ストレス応答のシグナル伝達系においては、3種類のAREB/ABF型転写因子が3種類のSnRK2タンパク質リン酸化酵素の下流で重要な役割を果たしていることを示してきた。しかしながら、既知の3種類のAREB/ABF型転写因子だけでは、SnRK2の下流の遺伝子発現ネットワークの制御機構を十分に説明することができなかった。本研究では、ABF1を加えた4種類のAREB/ABF型転写因子およびSnRK2タンパク質リン酸化酵素から構成されるSnRK2-AREB/ABF経路の役割とストレスシグナル伝達系における重要性を明らかにする。アミノ酸の相同性解析から、このSnRK2-AREB/ABFシグナル伝達系は、シロイヌナズナのみならず多くの作物種においても、よく保存されていることが推定されており、本成果は汎用性の高い干ばつ耐性作物の作出技術の開発に貢献することが期待される。
成果の内容・特徴
  1. ABF1は、その他3種のAREB/ABF型転写因子(AREB1、AREB2およびABF3)と同様に、植物細胞の核でSnRK2タンパク質リン酸化酵素と相互作用し、下流遺伝子の転写を活性化する能力を持っている。
  2. 4種のAREB/ABF型転写因子の機能が欠損したareb1 areb2 abf3 abf1四重変異体は、3種のAREB/ABFの機能が欠損した areb1 areb2 abf3三重変異体よりも低い乾燥ストレス耐性を示す(図1)。
  3. ABF1は、これまでに同定されていたAREB/ABF型転写因子であるAREB1AREB2およびABF3遺伝子と同様に乾燥ストレス応答においても重要な役割を果たしている。
  4. 4種類のAREB/ABF型転写因子は、シロイヌナズナの乾燥ストレス応答およびアブシシン酸(ABA)シグナル伝達系を協調的に制御している。
  5. 4種類のAREB/ABF型転写因子は、3種類のSnRK2タンパク質リン酸化酵素(SRK2D/SnRK2.2、SRK2E/SnRK2.6/OST1およびSRK2I/SnRK2.3)の下流で乾燥ストレス耐性を制御している主要な転写因子である(図2)。
  6. 4種類のAREB/ABF型転写因子は、下流ではたらく転写因子などのシグナル制御関連遺伝子や、細胞の保護に関わるLEAタンパク質遺伝子などの機能遺伝子を多数制御している。
成果の活用面・留意点
  1. AREB/ABF型転写因子やSnRK2タンパク質リン酸化酵素によって制御されている乾燥ストレス応答機構は、植物種にかかわらず、きわめてよく保存されていると考えられており、幅広い作物種の干ばつ耐性の向上に関わる応用研究に役立つことが期待される。
  2. AREB/ABF型転写因子やSnRK2タンパク質リン酸化酵素の下流ではたらく機能遺伝子群の解析によって、新奇の機能遺伝子を利用した干ばつ耐性作物の開発が可能である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027720
カテゴリ 乾燥

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