山形県沿岸域におけるホンダワラ類垂直分布から見た藻場造成の方向性について

タイトル 山形県沿岸域におけるホンダワラ類垂直分布から見た藻場造成の方向性について
担当機関 山形県水産試験場
研究課題名
研究期間 2011~2013
研究担当者 櫻井克聡
高澤俊秀
発行年度 2014
要約 山形県沿岸域(飛島を除く)のガラモ場は2m以浅で複数種が混生、2m以深ではヨレモク・ジョロモクが優占し、水深4~5mを境に被度・現存量が大きく減少する傾向にあった。藻場の限定要因は光量・漂砂・基質であると考えられ、藻場造成の際にはこれらの要因を考慮し、造成場所の流動環境や水深に適した海藻種を用いるべきと考えられた。
背景・ねらい 山形県沿岸域では、近年藻場保全活動が盛んに行われており、効果が現れ始めている。さらに効果を高めるために時間・コストの面で効率化が求められているが、県内の藻場(ガラモ場・その他藻場)における垂直分布や地域ごとの植生に関する知見が少なく、活動時の指標が乏しいのが現状である。そこで本研究では、各地域の藻場垂直分布における知見の集積を目的とし、県北部(女鹿)、中部(由良)、南部(鈴、鼠ヶ関)において調査を行った。
成果の内容・特徴 1. 調査地点で確認された海藻種は、計75種で、ホンダワラ類は14種であった(表1)。 

2. ホンダワラ類平均現存量は、ホンダワラ類の分布に乏しい女鹿を除く3地点で水深3m以浅が多く、4~5mを境に大きく減少する傾向が確認された(図1)。その傾向は被度も同様で、水深5m以深では疎生・点在している程度であった。優占種については、水深0.5~2mまではホンダワラ類の複数種が混生、水深2m以深ではヨレモク、ジョロモクが優占種となった。藻場造成に用いられているアカモクは外海に面した岩礁域で出現頻度が低い結果であった。これらの結果より、人工構造物周辺など静穏域ではアカモクを用い、波浪の影響が強い場所ではヨレモク・ジョロモクを用いるなど環境条件を考慮した海藻種の選抜が藻場保全活動に必要と考えられる。

3. 調査地点(女鹿を除く)での海底基質は、水深8mでも岩盤や岩塊・巨礫などホンダワラ類が生育可能な基質であった。しかし、水深5mから基質サイズの縮小、砂の堆積が確認され(図1)、同時に現存量・被度が減少したことから基質・漂砂が限定要因の一つであると考えられた。

4. 光条件は水深1mで陸上の約20~25%、4mで約5%、5mに達すると2%程度であり(図2)、基質・流動環境に加え、光条件も限定要因の一つであると考えられた。
成果の活用面・留意点 1. 光条件の結果は測定期間が短いため参考値とし、今後断続した測定を行うことが望ましい。

2. 県の外洋に面した海域の藻場造成では、植生結果よりヨレモク、ジョロモクを用いた方が環境に適していると考えられた。また、種苗・スポアバック投入の際には、水深5m以浅、砂の堆積が少ない場所を選定することが成功率を上げ、時間・経費の効率化につながると考えられた。

3. 今後藻場造成の適地選定には、流動環境を含めた基質のモニタリングを行う必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027623
カテゴリ コスト 光条件 モニタリング

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