脂質による脂溶性機能成分の生体利用性向上

タイトル 脂質による脂溶性機能成分の生体利用性向上
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究課題名
研究期間 2009~2013
研究担当者 小竹英一
長尾昭彦
発行年度 2013
要約 脂溶性機能成分には生体利用性が低いものが多い。本研究では消化シミュレーションやヒト腸管モデル細胞を使った評価系により、種々の脂質が機能成分の可溶化及び腸管細胞による吸収において生体利用性を向上させる特性を持つ事を明らかにする。
キーワード カロテノイド、混合ミセル、脂質、生体利用性、Caco-2
背景・ねらい 野菜・果物中の代表的な脂溶性機能成分であるカロテノイドは生体利用性が低い。消化の過程でカロテノイドは、食品マトリックスから遊離、摂取した脂質中に溶解、胆汁により消化液中に分散、さらに膵液の働きによって混合ミセル中に可溶化される。混合ミセルは胆汁酸、モノアシルグリセロール、脂肪酸、リン脂質、コレステロールから成り、ここではじめて腸管細胞による吸収が可能となる(図1)。一般に油(単純脂質)で調理することで食品脂溶性機能成分の吸収は高まると言われる。本研究では、機能性成分の生体利用性向上を図るため、カロテノイドの可溶化・吸収における単純脂質、リン脂質や糖脂質等の複合脂質を含めた様々な脂質の役割を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 試験管消化試験は、様々な野菜や果物中の機能性成分の可溶化に及ぼす、脂質等の食品成分の影響を調べることができる。本研究では人参中に含まれるβ-カロテンの可溶化に及ぼす様々な脂質の影響を検討する(図2)。人参中のβ-カロテンは脂質無添加では可溶化率は低いが、大豆油、大豆レシチン(リン脂質を多く含む)、ショ糖脂肪酸エステルの添加により大きく増加する。単純脂質同様に複合脂質はカロテノイドの可溶化を促進して生体利用性を高める可能性を示している。
  2. 消化の過程で脂質は加水分解され、混合ミセルを構成する成分にもなるため、機能成分の吸収にも影響を与えることが予想される。Caco-2ヒト腸管モデル細胞を用いて、混合ミセルに可溶化したカロテノイドの吸収における脂質加水分解物の影響を調べる(図3)。混合ミセルへのリゾリン脂質(A)、モノアシルグリセロ糖脂質(B)の添加は、腸管細胞によるカロテノイドの取込量を著しく高める。脂質は、カロテノイドの可溶化だけではなく、吸収をも高めて生体利用性を向上させる特性を有する。
成果の活用面・留意点
  1. 脂質の効果は、カロテノイド以外の栄養・機能成分にも適用できると考えられる。例えば、脂溶性ビタミンD、E、Kの他、ケルセチン等の水難溶性の成分においても同様の効果が期待できる。
  2. 脂質には摂取カロリー増加の懸念があるが、機能性成分の生体利用性向上には重要である。
  3. グリセロ糖脂質は葉物野菜等を通じて日常的に摂取されているが、食品素材としては利用されていない。グリセロ糖脂質の吸収率は低いと考えられており、低カロリーで生体利用性を高める新素材としての高度利用が期待できる。
  4. これらの知見に基づいた脂質との食べ合わせ、調理、加工等を工夫することにより、通常の食事下での栄養・機能成分の生体利用性向上が図れる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027592
カテゴリ 加工 機能性成分 大豆

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