LAMP法によるニホンナシ自家和合性個体の選抜

タイトル LAMP法によるニホンナシ自家和合性個体の選抜
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究課題名
研究期間 2010~2013
研究担当者 寺上伸吾
奈島賢児
國久美由紀
西谷千佳子
齋藤寿広
山本俊哉
発行年度 2013
要約 開発したLAMPプライマーセットによって、簡便、迅速かつ高額機器を必要とせずにニホンナシS ハプロタイプが判定できることから、S4smハプロタイプを有する自家和合性個体の迅速な選抜が可能となる。
キーワード ニホンナシ、自家和合性、LAMP法、DNAマーカー選抜
背景・ねらい ニホンナシは配偶体型の自家不和合性を示すことから、自家受精しない。しかしながら、ニホンナシ「二十世紀」の枝変わりである「おさ二十世紀」は、S4-RNaseを含む236kbpのゲノム領域が欠損したS4smハプロタイプを持ち、自家和合性を示す。
「おさ二十世紀」由来のS4smハプロタイプを持つ個体は、安定した自家結実性を示すことが示されており、近年の気候変動に起因する開花期の長雨や低温による結実不安定の解消、および年間総労働時間の約10%を占める手作業による授粉作業の省力化が期待される。
ニホンナシS ハプロタイプの判定にはPCR-RFLP法が用いられてきたが、PCR-RFLP法は、高いコスト、煩雑な操作、検出時間の長さ、高額機器が必要などの問題があり、育種現場で利用できる簡便な技術開発が求められている。迅速、簡便で低コストのDNAマーカー検出手法として、Loop-Mediated Isothermal Amplification(LAMP)法が知られている。そこで、LAMP法によるS4smハプロタイプを有する自家和合性個体および、ニホンナシハプロタイプ(S1-9SkおよびS4sm)の判定方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. S4smハプロタイプ特異的に設計したLAMPプライマー(表1)は、S4smハプロタイプを持つ個体のみで増幅を示し、他のSハプロタイプでは増幅を示さないことから、「おさ二十世紀」由来自家和合性個体の選抜マーカーとして利用可能である。
  2. S1S2S4S6S7S8S9-RNaseの公開配列から設計したLAMPプライマーは、各S-RNaseを特異的に検出する。S3-RNaseおよびS5-RNaseは配列の相同性が極めて高いため、今回設計したLAMPプライマーでは両S-RNaseを区別することはできない。
  3. 反応液に蛍光・目視検出試薬(栄研化学株式会社)を混合し、63°Cで60分間のインキュベートによりLAMP反応を進行させた後、目視での検出が可能である(図1)。LAMP法を用いることにより、従来法と同等の検出感度で、60分でSハプロタイプの判定が可能である(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. プライマー設計に用いた10種類のS-RNase(S1-9Sk)およびS4smハプロタイプの塩基配列は、公共の遺伝子データベースに登録されている。今回開発した各Sハプロタイプを検出するLAMPプライマーセットは、論文中(奈島ら、2014)で公表している。
  2. Sk-RNase増幅用のプライマーでは、S4-RNaseを有する個体でも増幅が認められたことから、Sk-RNaseおよびS4-RNaseを認識すると考えられる。
  3. 「おさ二十世紀」由来S4smハプロタイプを有していても、S4S4smS1S4sm遺伝子型の個体は自家不和合性を示す。
  4. LAMP反応に用いる恒温槽には、市販のサーマルサイクラー、水相もしくは気相のインキュベータ等が利用可能である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027572
カテゴリ 育種 コスト 省力化 低コスト DNAマーカー データベース

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