スギ遺伝資源のコアコレクションの作成

タイトル スギ遺伝資源のコアコレクションの作成
担当機関 (独)森林総合研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 宮本 尚子
那須 仁弥
大谷 雅人
生方 正俊
藤澤 義武
発行年度 2014
要約 林木ジーンバンク事業で収集・保存している大量のスギ遺伝資源の中から、遺伝的情報や生育地の環境情報を基に全体を代表する情報量の多いコアコレクション(代表的な品種・系統のセット)を作成しました。
背景・ねらい 日本を代表する針葉樹であるスギは、北海道から鹿児島県まで広く植栽され、地域や個体ごとに様々な変異を持っています。スギの持つ特性を明らかにし、新品種の開発等をより迅速に推進するためには、様々な分野の研究を関連づけ、効率よく研究を進める必要があり、少数の個体でスギ全体を代表できる共通の研究材料の整備・提供が欠かせません。そこで、林木ジーンバンク事業で保存しているスギ遺伝資源約3,600 系統の中から、それぞれの個体の持つ遺伝的な情報や元々の生育地の環境要因の情報を総合的に解析し、スギ遺伝資源全体を代表する品種・系統のセットである「スギコアコレクション96」を作成しました。
成果の内容・特徴

林木ジーンバンク事業について

林木のジーンバンク事業は、1985 年から「育種素材の供給源の確保」、「絶滅に瀕している種の確保」等を目的に森林総合研究所が主体となって行っている事業で、2015 年度末現在で約35,000 系統の林木遺伝資源を保存しています。有用かつ貴重な遺伝資源を収集・保存することに加え、新品種の開発や様々な科学技術の発展に寄与するための研究材料を提供することが、ジーンバンク事業の大きな役割のひとつです。遺伝的情報を用いた優良系統の選抜等、品種開発をより迅速に行う新たな手法を開発するためには、少数の系統で全体の変異を代表する研究材料の整備・提供が欠かせません。日本の最も重要な針葉樹であるスギを対象に、全体の変異を少数の系統で代表できる情報量の多いコアコレクション(代表的な品種・系統のセット)を作成しました。

コアコレクションの作成

スギ(Cryptomeria japonica)は、北海道から鹿児島県まで広く植栽されている日本の最も重要な針葉樹の一つです。通直で加工しやすいことから住宅の柱材をはじめ古くから様々な用途に用いられてきました。コアコレクションは、重要性やDNA 分析による遺伝的情報の整備状況等から、まずスギで作成することとしました。
日本全国各地から収集・保存されているスギ遺伝資源3,579 系統について、それぞれの来歴情報とDNA 分析による遺伝子型情報を用いて、生育地、倍数性、異名同木、同名異木等の情報を整理しました。全個体を来歴情報から生育地ごとに539 のグループに分け、この中からランダムに1 系統を選出しました。選出した539 系統について、各系統の遺伝子型情報および気象庁のメッシュ気候値から得られた生育地の気温、降水量、日射量、標高等の14 要因を用いたクラスター分析の結果から、96 のグループに分け、さらにその中からグループを代表する1系統を選び出し、「スギコアコレクション96」としました。
生育地の環境要因を主成分分析により二次元の図に表したものが図1です。「スギコアコレクション96」は、環境省の自然環境保全基礎調査によるスギ全体の生育地の環境要因の多くの部分をカバーしています。さらに遺伝的多様性は、スギ遺伝資源全体とほぼ同等であることもわかりました。図2にスギ全体の生育地および「スギコアコレクション96」の生育地を示します。今回作成したコアコレクションは、地理的に見ても、全国各地から均等に選出されていることがわかります。
今回作成したコアコレクションの情報を森林総合研究所のホームページ等により広く公開し、スギの品種開発等の様々な研究のスタンダード素材になるように利用促進を図っていきます。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027568
カテゴリ 育種 遺伝資源 加工 新品種 品種 品種開発

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