先進的な車両系林業機械によって欧州並みの高い生産性が実現する

タイトル 先進的な車両系林業機械によって欧州並みの高い生産性が実現する
担当機関 (独)森林総合研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 中澤 昌彦
吉田 智佳史
佐々木 達也
上村 巧
鈴木 秀典
陣川 雅樹
大矢 信次郎
戸田 堅一郎
高野 毅
発行年度 2014
要約 森林・林業の再生に向け、森林内に入って伐採作業を行う欧州の先進的な林業機械が導入されました。この機械を活用して、平坦地と中傾斜地で間伐作業を行い、欧州並みの高い生産性が得られることを実証しました。
背景・ねらい わが国の森林・林業再生のために、路網整備と機械化等による新たな素材生産技術の開発が求められています。森林内を走る機械によって伐採作業を行うCTL(丸太集材)作業システムは、労働の安全性と生産性が両立されたシステムとして欧州で高く評価されていますが、わが国では地形も樹種も異なるので、実証試験による科学的評価が必要です。そこで、平坦地や中傾斜地において欧州から導入されたホイール式(タイヤ車輪で走行する)の先進的な林業機械による作業システムの実証試験を行ったところ、いずれの作業条件でも欧州並みの高い生産性を実現できました。また、得られた主要パラメータから作業システムの適否を評価する手法を開発しました。
成果の内容・特徴

成果

欧州から導入されたホイール式の先進的な林業機械によるCTL(Cut To Length;丸太集材)作業システムの生産性を評価するため、平坦地において点状間伐および列状間伐の実証試験と、中傾斜地において従来型システムとの比較試験を列状間伐について行いました。

CTL システム

CTL とは、Cut To Length の略であり、林内で伐採木を決まった長さの丸太に切って集材することですが、欧州では一般にハーベスタ(木を伐り、丸太にする伐木・造材機械)で切った丸太をフォワーダ(丸太を集めて運ぶ集材機械)で集材する作業システムのことを指します(図1)。使用したハーベスタ(図2)とフォワーダ(図3)は、欧州で活躍している小型でハイパワーな林業専用の機械です。

平坦地における点状間伐と列状間伐

従来型のクローラ式(履帯で走行する)ハーベスタの生産性は点状間伐よりも列状間伐の方が1.5 倍近く高いと報告されています。しかし、先進的な林業機械の性能は高く、間伐方法の違いが伐木・造材工程や集材工程の生産性に与える影響は小さいことがわかりました。システム全体の労働生産性を求めると、点状間伐と列状間伐ともに18.6m3/ 人日となり、わが国の間伐作業の平均的な生産性は3.5m3/ 人日であるので、非常に高い生産性が得られました。

中傾斜地における従来型システムとの比較試験

先進的CTL システムとクローラ式の従来型CTL システム、および従来型架線系システムの3 種類の作業システム(図1)の比較試験を中傾斜地で行いました。その結果を平坦地の労働生産性も含めてまとめると、図4のとおりになりました。中傾斜地での先進的システムの生産性は平坦地の0.6 倍と低くなりますが、同じ地形条件であれば従来型システムよりも生産性は1.3 倍高くなりました。また、架線系と比較しても1.8 倍高くなりました。さらに、上り作業の登坂限界は先進的ハーベスタとフォワーダともに傾斜23 度、従来型フォワーダは傾斜 12度であり、先進的機械の方が斜面傾斜に対する適応能力が高く、より安全であることがわかりました。
以上の結果から、地形や森林、路網条件、使用機械など、生産性算出のための主要パラメータとその固有値を明らかにし、生産性を試算する功程式と、機械ごとの登坂限界値とによって、先進的機械作業システムの適否を評価する評価手法を開発しました。

本研究は、一般研究費「路網整備と機械化・省力化による低コスト作業システムの開発」による成果です。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027543
カテゴリ 機械化 傾斜地 省力化 低コスト

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