乗用トラクタの転落転倒事故の一因である左右ブレーキの連結忘れを防ぐ装置

タイトル 乗用トラクタの転落転倒事故の一因である左右ブレーキの連結忘れを防ぐ装置
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター
研究課題名
研究期間 2011~2013
研究担当者 志藤博克
積栄
岡田俊輔
塚本茂善
皆川啓子
原田一郎
豊田成章
土師健
高橋弘行
篠原隆
白垣龍徳
中村利男
牧洋文
渡部智明
中村健太郎
佐々木勇介
饗場正知
発行年度 2013
要約 乗用トラクタの転落転倒事故の一因である左右ブレーキの連結忘れを防ぐための装置である。左右ブレーキペダルは常に連結されており、運転者が必要としたときだけ連結解除ペダルを左足で操作して左右のブレーキの連結を解除し、片ブレーキ操作を行う。
キーワード 乗用トラクタ、転落転倒、片ブレーキ、安全装置
背景・ねらい 乗用トラクタの死亡事故は農業機械による事故の5割(123件:2011年)にも及び、そのうち転落転倒による事故は約7割を占めており、大きな問題となっている。その一因として、左右ブレーキペダルの連結装置のかけ忘れによる誤操作が挙げられている。誤って片方のブレーキだけで急制動をかけると思わぬ急旋回が生じ、転落転倒の重大死傷事故につながる場合がある。そこで、この種の事故を未然に防止するための装置を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 開発装置(図1)は、左右ブレーキペダルの連結を解除するためのペダル(以下、連結解除ペダル)と、連結解除ペダルの動作の可否を切り替えるレバー(以下、連結解除ペダルロックレバー)から構成される。連結解除ペダルは、運転者の左脚の足元に配置するとともに、クラッチとは一定の距離を置き、異なる操作方向とする等、連結解除の操作性の確保とクラッチとの踏み間違え防止を両立するよう配慮している。連結解除ペダルロックレバーは運転者の手に届きやすい位置に配置されており、これまでのブレーキペダル連結金具のように身をかがめて操作する必要がない。また、連結解除操作が可能な状態では運転者に告知するため、計器板の表示ランプが赤色点灯する。
  2. 左右のブレーキペダルは、移動中、作業中を問わず常に連結された状態になっている。片ブレーキを用いた作業を行う場合は、連結解除ペダルロックレバーを「ロック」の位置から「解除」に切り替える。作業中、運転者が片ブレーキ操作を必要としたときに、左足で連結解除ペダルを踏むと、左右ブレーキの連結が解除され、片ブレーキ操作が可能となる。連結解除ペダル及びブレーキペダルから足を離すと、左右のブレーキは自動で連結される(図2)。
  3. 道路走行時あるいは片ブレーキ操作を必要としない作業中は、連結解除ペダルロックレバーを「ロック」の位置に切り替える。これにより、万一、走行中あるいは作業中に誤って連結解除ペダルを踏んでも左右ブレーキの連結は解除されない。
  4. 農家、教育研修機関の教官等のトラクタ作業精通者だけでなく、不慣れな被験者も含む計28名により、開発装置を搭載したトラクタでロータリ耕やプラウ耕を行ったほ場試験では、急制動時における左右ブレーキの連結が確実に保持されることが確認され、片ブレーキの操作性についても概ね良好であり、実用的なレベルに達しているとの評価を得ている(表)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:国産乗用トラクタを使用するすべての農業者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:乗用トラクタが使用されるすべての地域において、最終的には約4万台/年
  3. その他:本装置は、2014年度以降、各参画企業より対応可能な新機種から標準装備される予定である。
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