エンドファイト感染イタリアンライグラスはアカスジカスミカメ幼虫の密度を抑制する

タイトル エンドファイト感染イタリアンライグラスはアカスジカスミカメ幼虫の密度を抑制する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2013
研究担当者 松倉啓一郎
柴卓也
佐々木亨
松村正哉
発行年度 2013
要約 エンドファイトの一種Neotyphodium uncinatumに感染したイタリアンライグラスは、成熟期に昆虫に対して毒性のあるN-formyllolineを小穂や葉身に蓄積する。これにより、感染イタリアンライグラス上のアカスジカスミカメ幼虫の6月の発生量は抑制される。
キーワード 飼料作物、ロリンアルカロイド、アカスジカスミカメ、ヒメトビウンカ、耕種的防除
背景・ねらい イタリアンライグラスは国内における最も重要な飼料作物のひとつである。九州では主に水稲の裏作や飼料トウモロコシの後作として冬から春にかけて栽培されるが、水稲の重要害虫であるアカスジカスミカメやヒメトビウンカの越冬・増殖地になるため、こうした害虫の発生源対策としてイタリアンライグラス圃場での害虫密度抑制が望まれる。一方、エンドファイトの一種Neotyphodium uncinatumを人工的に接種したイタリアンライグラスはカメムシ目昆虫に対して毒性のあるN-formyllolineを体内に蓄積するため、害虫の発生しにくいイタリアンライグラスとして有望視されている。そこで、N. uncinatumを感染させたイタリアンライグラスについて、圃場での実用性を検討するため、感染植物体内におけるN. uncinatumN-formyllolineの動態を明らかにするとともに、感染植物の圃場におけるアカスジカスミカメとヒメトビウンカの密度抑制効果を検証した。
成果の内容・特徴
  1. イタリアンライグラスに感染したN. uncinatumは分げつ期から開花期にかけて主に偽茎部で増殖し、それ以降は小穂部で増殖する(図1)。
  2. N. uncinatumによって産生されるN-formyllolineは植物体内を転流し、成熟期には小穂と葉身に高濃度で蓄積される(図2)。
  3. N. uncinatumに感染したイタリアンライグラス圃場におけるアカスジカスミカメ幼虫の発生量は、対照の非感染品種圃場に比べ5~20%程度に抑制される(図3)。アカスジカスミカメはN-formyllolineが高濃度で蓄積されている小穂部位を好んで吸汁することから、N. uncinatumの感染による密度抑制効果が顕著に現れたと考えられる。
  4. アカスジカスミカメ成虫や、ヒメトビウンカ成幼虫に対する密度抑制効果は確認されない(データ略)。
成果の活用面・留意点
  1. 重要な斑点米カメムシの一種であるアカスジカスミカメの初夏の増殖を抑制することにより、夏期の水稲での本種の発生量を抑制することが期待される。
  2. 移動能力の高いアカスジカスミカメ成虫や、N-formylloline蓄積部位以外も吸汁するヒメトビウンカ成幼虫は非感染の株やN-formyllolineが蓄積されていない部位を吸汁しやすいことから、感染品種による密度抑制効果がみられなかった可能性が高い。
  3. N-formyllolineは重要な斑点米カメムシであるアカヒゲホソミドリカスミカメに対しても殺虫効果がある。
  4. イタリアンライグラスでのNeotyphodium属エンドファイトの感染率は、種子の保存条件や栽培条件等によって著しく変動することが示唆されており、本成果の普及のためにはエンドファイトの感染率を安定化させる必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027525
カテゴリ アカスジカスミカメ イタリアンライグラス カメムシ 害虫 栽培条件 飼料作物 とうもろこし 斑点米カメムシ ヒメトビウンカ 品種 防除

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