植物バイオマスを用いた土壌還元消毒の効果と嫌気性細菌の動態

タイトル 植物バイオマスを用いた土壌還元消毒の効果と嫌気性細菌の動態
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2009~2012
研究担当者 竹原利明
吉田祐子
須賀有子
石岡 厳
伊藤陽子
関口博之
野見山孝司
富岡啓介
藤井義晴
上木厚子
前川和正
福嶋 昭
竹川昌宏
中野智彦
森岡 正
安川人央
神川 諭
安田文俊
井上 興
徳永哲夫
広田恵介
亀代美香
三宅圭
堀北直樹
村井恒治
発行年度 2013
要約 カラシナやダイコン残渣などの植物バイオマスを用いた土壌還元消毒法は、ホウレンソウ萎凋病に対し顕著な発病抑制効果がある。土壌還元消毒では、酢酸、酪酸などの抗菌物質を産生するクロストリジウム属菌などの嫌気性細菌が一時的に土壌に集積する。
キーワード カラシナ、ダイコン残渣、嫌気性細菌、土壌還元
背景・ねらい 臭化メチルの使用禁止と環境保全的取り組みの浸透を背景として、薬剤を用いない土壌病害の防除法開発が望まれている。ホウレンソウ萎凋病(Fusarium oxysporumによる)などの土壌病害に対し、地域で得られる植物バイオマスを用いた土壌還元消毒法の効果を検証するとともに、消毒における土壌細菌の関与を調査して、安定した効果の発現条件を探る。
成果の内容・特徴
  1. カラシナ(Brassica juncea)をハウス内で栽培して夏季に鋤き込み(3~5t/10a)、圃場容水量以上の灌水を行って透明シートで3週間程度被覆(密封)すると、後作のホウレンソウ萎凋病が顕著に抑制され、収量が向上する(図1)。
  2. 地域のダイコン産地から排出される残渣を鋤き込み(15~20t/10a)、同様の処理をすると、ホウレンソウ萎凋病を抑制することができる(図2)。土壌消毒効果は、植物バイオマスとしてブロッコリー残渣やエンバクなどを用いた場合(3~5t/10a鋤き込み)にも得られる。
  3. 植物バイオマスを混和して灌水・被覆(密封)した場合、フスマを用いた場合と同様に土壌が還元状態となり、クロストリジウム(Clostridium)属菌を主体とする偏性嫌気性細菌が土壌中に優占してくる。カラシナやエンバクの混和処理中の土壌温度は、25°Cより30°Cの方が酢酸の生成量が多く、病原菌死滅効果が高い(図3)。
  4. 殺菌効果の認められた処理土壌から優占的に分離されるクロストリジウム属菌は、Clostridium saccharobutylicumC. xylanovoransC. sufflavumC. tyrobutyricumC. pasteurianumなどと考えられ、酢酸、酪酸などの抗菌性物質を生成する。処理後に作物を栽培すると多様な微生物相が回復する。
成果の活用面・留意点
  1. 本防除法を含めて取りまとめたホウレンソウなどの有機栽培マニュアル(有機農業実践の手引き)が、ホームページ上で利用できる(有機農業実践の手引き:46-77(第4章)http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/laboratory/narc/manual/046975.html)。
  2. 植物バイオマスを用いて土壌還元消毒を行った場合、処理土壌中で増殖した嫌気性細菌が生成する酢酸、酪酸以外に、カラシナなどから生じるイソチオシアネート類など他の作用機構も殺菌効果に関わっている可能性がある。
  3. 傾斜圃場では、散水に水圧補正チューブを利用すると、水圧が変わっても吐出水量が一定となり、均一な散水により土壌水分を確保できる。
  4. 鋤き込む植物バイオマスの種類や量による消毒効果の違いについては、更に検討する必要がある。また、鋤き込む植物の緑肥的効果については、種類や量により違いがあるため、土壌診断に基づき施肥量を調節する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027501
カテゴリ からしな 施肥 だいこん 土壌消毒 土壌診断 ブロッコリー ほうれんそう 防除 薬剤

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