「つけな中間母本農2号」由来の晩抽性を選抜できるDNAマーカー

タイトル 「つけな中間母本農2号」由来の晩抽性を選抜できるDNAマーカー
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究課題名
研究期間 2009~2013
研究担当者 由比進
北本尚子
西川和裕
高畑義人
横井修司
発行年度 2013
要約 「つけな中間母本農2号」の極晩抽性は、花成抑制遺伝子BrFLCの変異に起因すると考えられ、低温にさらされてもBrFLCの発現量は減少せず花成が誘導されない。BrFLC内の多型をマーカー化することにより効率的にハクサイ等の晩抽性の個体を選抜できる。
キーワード ハクサイ、晩抽性、DNAマーカー、FLC、長日
背景・ねらい Brassica rapaに属するハクサイやツケナ・カブ類では、抽だいすると商品価値が著しく低下するため、晩抽性の付与は重要な育種目標のひとつである。一般にB. rapaは、一定条件の低温により花成が誘導されるが、非結球の「つけな中間母本農2号(以下、農2号)」は、低温ではなく長日条件下で花成が誘導されるため極めて高い晩抽性を有し、有望な育種素材である。そこで、B. rapaに属する葉根菜類の晩抽性育種を効率よく進めるため、「農2号」が示す極晩抽性の原因遺伝子を明らかにし、晩抽性個体を選抜するDNAマーカーを開発する。
成果の内容・特徴
  1. 「農2号」においては、春化経路における主要な花成抑制遺伝子であるBrFLC2(Brassica rapa FLC 2)とBrFLC3の第1イントロンに約5kbの断片が挿入されている(図1)。
  2. 「農2号」のBrFLC2BrFLC3では、低温に遭遇しても発現量がほとんど減少せず(図2)、花成誘導に至らない。
  3. QTL解析の結果、抽だい日におけるBrFLC2BrFLC3の寄与率は、46.0%、9.9%と非常に高い。BrFLC2BrFLC3の第1イントロン長の違いを検出できるDNAマーカー(図1、表1)を用いることにより、晩抽性対立遺伝子を持つ個体を高精度に選抜できる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. ハクサイの近縁種であるシロイヌナズナでは、低温に長時間さらされるとFLCの第1イントロンにタンパク質複合体が結合し、ヒストンのメチル化レベルが上昇することで、FLCの転写が抑制され、花成が促進されることが分かっている。「農2号」のBrFLC2BrFLC3では、この第1イントロンに断片が挿入されたため、低温に遭遇しても発現量がほとんど減少しなくなったと考えられた。
  2. 「農2号」は晩抽性が非常に高いため、従来は表現型による選抜を年1回しか行えなかった。開発したDNAマーカーを用いて晩抽性対立遺伝子をヘテロ接合で持つ個体を選抜することにより、年2~3世代を進めることができる。
  3. QTL解析の結果、「農2号」の極晩抽性には、BrFLC2BrFLC3以外にも複数のQTLが関与していることが示唆されている。このため、開発したDNAマーカーだけでは、「農2号」の極晩抽性を完全には再現できない。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027468
カテゴリ 育種 かぶ DNAマーカー はくさい

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