立ち上げ管取り付けによる暗渠排水量と硝酸態窒素濃度の減少

タイトル 立ち上げ管取り付けによる暗渠排水量と硝酸態窒素濃度の減少
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2011~2013
研究担当者 宮本輝仁
北川巌
塩野隆弘
亀山幸司
岩田幸良
発行年度 2013
要約 暗渠排水部での立ち上げ管を用いた地下水位制御によるNO3-N流出負荷削減対策では、立ち上げ管の設置による暗渠排水特性への影響は小さい。NO3-N流出負荷削減効果は、地下水位上昇に伴う暗渠排水量の減少、および脱窒による水質浄化の両方に起因する。
キーワード 暗渠排水、硝酸態窒素、脱窒、水質
背景・ねらい 食料自給率の向上に向けた取り組みが推進され,多くの水田を転換畑として積極的に利用するようになると,施肥量の多い野菜作圃場などでは、硝酸態窒素(NO3-N)の流出負 荷の増加が懸念される。転換畑からの窒素負荷の削減のため、既存の暗渠排水口に立ち上げ管を取り付ける簡易な対策により地下水位を制御し、NO3-N流出負荷を低減する技術が提案されている。しかし、想定されたNO3-N排出抑制の効果が確認されなかった事例も報告されており、更なる適用事例の蓄積と効果発現機構の解明が求められる。そこで、亀裂内の水移動が卓越する粘土質転換畑の暗渠排水口に立ち上がり管を取り付け、暗渠排水特性とNO3-Nの流出負荷低減の効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 試験圃場は2011 年3月に暗渠を更新した農村工学研究所内の精密圃場(50m×50mの25a区画)である。暗渠管は排水口が地表面下80cmになるように埋設されている。土壌は重粘土である。暗渠排水口に立ち上げ管を取り付けた区(立ち上げ区)(図1)と立ち上げ管を設置しない区(対照区)を設け、暗渠排水量とNO3-N濃度、地下水位の観測を行う。2011年は、5月9日に高度化成肥料15-15-15(N-P-K各成分ともに12kg/10a)を散布した後、スイートコーンを播種する。2012年は、7月8日に立ち上げ区、対照区ともに高度化成肥料15-15-15(N-P-K各成分ともに10kg/10a)を散布した後、裸地状態で管理する。
  2. 立ち上げ管設置後の地下水位の経時変化を比較すると、立ち上げ区と対照区ともに降雨時に地下水位が高くなり、降雨後は両試験区ともに暗渠排水位まで地下水位が低下する(図2)。そのため、立ち上げ管の取り付けによる暗渠排水特性への影響は小さい。
  3. 地下水位を高く保つことにより脱窒を促進し、排水中のNO3-N濃度を低くする効果がある(図3)。ただし、降雨後の採水のタイミングによっては、立ち上げ区が対照区よりNO3-N濃度が高い場合もある。
  4. 得られた暗渠排水量とNO3-N 濃度を掛け合わせてNO3-N流出負荷を求めると、2012年の7月上旬の施肥後から12月までのNO3-N排出量の合計は、立ち上げ区で3.2 kg/10aであるのに対して対照区は5.8 kg/10aであり、削減効果は約43%となる(表1)。また、立ち上げ区の暗渠排水量は対照区に比べて約29%減少している(表1)。そのため、立ち上げ管によるNO3-N流出負荷削減効果は、暗渠排水量の減少と脱窒によるNO3-N 濃度 の低下の両方に起因する。
成果の活用面・留意点
  1. 暗渠排水が可能な低平地水田を転換畑利用する際の環境負荷低減対策として活用。
  2. 立ち上げ高さについては、湿害を回避するような設定とする。また、地区内排水も十分行えている必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027419
カテゴリ 環境負荷低減 湿害 水田 施肥 播種

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