赤外線サーモグラフィを用いた農業用水路に発生する浮きの検出方法

タイトル 赤外線サーモグラフィを用いた農業用水路に発生する浮きの検出方法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2011~2013
研究担当者 西原正彦
中嶋勇
渡嘉敷勝
森充広
発行年度 2013
要約 表面被覆工法により補修された農業用水路に発生する被覆材の浮きを赤外線サーモグラフィを用いて検出する手法である。健全部と浮きの表面温度差が0.5°C以上となる環境下で浮きの位置の検出が可能である。
キーワード 赤外線サーモグラフィ、浮き、表面被覆、熱画像、変状調査
背景・ねらい 現在、ストックマネジメント事業の普及により、多くの農業用開水路で表面被覆工法などの補修工事が行われているが、一部の農業用水路では比較的早期に施工した被覆材の局所的な剥離や浮きなどの変状が発生している。各地で補修工法のモニタリング調査として、打音法による剥離や浮きの調査が行われている。しかし、長大な水路で実施するには時間と手間がかかり、浮きを見落とす可能性もある。そこで、より簡単で迅速に壁面全体の変状を調査できる可能性がある赤外線サーモグラフィの適用可能性について検証し、赤外線サーモグラフィによる変状部分の検出可能な計測条件を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 赤外線サーモグラフィは、物体の表面温度分布を測定する装置であり、補修された水路で既存コンクリートと補修材料の境界に浮きが存在すると、それが断熱層となり表面温度差が生じるため、赤外線サーモグラフィによる浮きの検出が可能である。実際に浮きが発生した農業用水路において、赤外線サーモグラフィを用いて調査を行ったところ、浮きの部分と健全部に温度差が見られる。
  2. そこで、現地の浮きを模擬した供試体を作成し屋外実験を行う。実験は冬期晴天時に行い、供試体の向きは南向きとする。屋外実験の結果、10時00分では供試体中心部の浮きを模擬した欠陥部が健全部と比べ高温になる。14時00分には欠陥部と健全部の温度差はなくなり、17時00分では欠陥部の温度が健全部に比べ低温になる(図1)。
  3. 屋外実験の結果から、冬期晴天時の条件では、測定に適した時間帯は午前中と夕方の2回発生し、健全部に比べて欠陥部が午前中は高温に、夕方は低温になる。表面温度差の逆転が発生する14時前後の時間帯は欠陥部の検出が困難である(図2)。欠陥部の形状は、健全部との表面温度差が0.5°C以上あれば明瞭に把握できる。
  4. 調査対象の壁面に泥や藻などが付着している場合は、汚れによって温度分布に偏りが生じ、浮きを検出することができない。あらかじめ汚れを除去して測定することが必要である。また、表面に凹凸がある箇所などは赤外線サーモグラフィでは浮きと同様の温度差を生じるため注意が必要である(図3)。
  5. 赤外線サーモグラフィによる調査は打音法による詳細調査箇所の絞り込みに有効である。赤外線サーモグラフィと打音法による調査を組み合わせることにより、浮き発生箇所の見落とし防止を図ることができる。
成果の活用面・留意点
  1. 夏季、曇天時、日影などにより、浮きの部分と健全部の表面温度差が生じにくくなる環境下では、赤外線サーモグラフィによる浮きの検出は困難である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027406
カテゴリ ストック モニタリング

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