タイトル |
詳細地形等を考慮したため池決壊時の簡易氾濫解析手法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 |
研究課題名 |
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研究期間 |
2012~2012 |
研究担当者 |
川本 治
鈴木尚登
吉迫 宏
井上敬資
正田大輔
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発行年度 |
2013 |
要約 |
詳細な数値情報データ(国土地理院基盤地図情報)を取込み、ため池の諸元・位置情報と組合せて詳細情報(破堤点等)を考慮することにより、予測精度の高いハザードマップを作成するための簡易氾濫解析を行うことができる。
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キーワード |
ため池データベース、簡易氾濫解析、ハザードマップ、数値標高モデル
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背景・ねらい |
東日本大震災におけるため池被害は甚大であり、福島県ではため池3287箇所のうち800箇所(24.3%)が被災し、3箇所が決壊している。約1万4千か所のため池を始めとして全国で点検の強化やハード・ソフト対策が必要とされ、ため池の氾濫域を予測したハザードマップの整備等のソフト対策が急務となっているが、全国で約21万箇所の農業用ため池のすべてで高精度の詳細解析を行って氾濫域を予測することは困難である。そこで、ソフト対策の推進が可能な、詳細地形等を考慮したため池決壊時の簡易解析氾濫解析手法を開発した。
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成果の内容・特徴 |
- 従来の10mメッシュ数値標高データから5m メッシュの詳細な数値標高データ(国土地理院基盤地図情報)を採用することにより、詳細地形の変化を反映した簡易氾濫解析を行うことが可能になる。図1に示すとおりに5mメッシュの詳細な数値標高データの考慮によって堤防による洪水流の阻止を考慮して実状に即した浸水域が予測できる。
- ため池の任意点を決壊地点に指定することにより、堤体の老朽度やウィークポイントなどの実状に即した簡易氾濫解析を行うことを可能にした。図2に示すとおり、微地形に沿って複数の氾濫経路が生じる平地のため池(皿池)で、氾濫域の予測精度が大きく向上する。
- 氾濫域での流速を定める粗度係数を任意の値(全領域で均一の任意の値)を指定することにより、実情に即した浸水域予測が可能になる。図2では、合成粗度(地域の土地利用状況や地被構造物などを考慮して求めた、各地目面積の重み付き平均値)を用いることにより詳細な数値予測と同等の浸水域簡易予測が行える。ただし、粗度係数が小さい主たる流路に氾濫流が集中する場合には粗度係数の選択に注意が必要である。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:都道府県・市町村及び土地改良区等の技術者(作成したマニュアルを用いて、全国の担当者を集めた講習会を行っている。)
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:当面、全国32府県のため池での簡易解析の実施を目標とする。
- その他:(1)詳細解析の実施がコスト的に困難な中小規模のため池の浸水域解析や、スクリーニング(詳細解析に先だって行う解析領域の選別)等に用いる。 (2)採用した計算条件が実際の現地条件(圃場・水路・盛土の状態等)を反映しているかを現地踏査等により確認し、必要な場合には地形データの修正等を行わなければならない。(3)従来の簡易解析手法では、ため池の決壊が瞬時に生じることを仮定していたが、ここでの手法の改善により任意のハイドログラフ(決壊地点における決壊流の流入履歴)を考慮することが可能となった。任意のハイドログラフを指定する場合には、実情に即したものを指定するよう、十分な検討が必要である。
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URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027398 |
カテゴリ |
コスト
データベース
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