有機質疎水材を活用した農地下層への炭素貯留ポテンシャルの全国評価

タイトル 有機質疎水材を活用した農地下層への炭素貯留ポテンシャルの全国評価
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2010~2013
研究担当者 北川巌
塚本康貴
甲田裕幸
親富祖明
発行年度 2013
要約 有機質疎水材の目安の耐用年数15年後の推定炭素残存率は、モミガラ<バーク堆肥<木材チップ<木炭で、南北の地域差も大きい。日本の暗渠を各疎水材で整備した時の15年後の炭素貯留量は、モミガラ4千CO2t、木材チップ22万CO2tで資材により異なる。
キーワード 有機質疎水材、農地下層、炭素貯留ポテンシャル、全国評価
背景・ねらい 我が国では、農業分野における地球温暖化緩和策として、農地土壌への炭素貯留技術が検討されている。その一つの方法として、暗渠や土層改良などの農地整備を活用する農地下層における炭素貯留技術が有効である。そこで、全国における各有機質疎水材の炭素残存率を明らかにして、暗渠や土層改良による全国の炭素貯留ポテンシャルを評価する。
成果の内容・特徴
  1. ガラス繊維濾紙法により15cmと60cm深に埋設された有機質疎水材は、深く埋設すると炭素残存率が高く(図1)、下層ほど分解が抑制され炭素貯留機能が高まる。
  2. 関東地方における農地下層に埋設した各有機質資材の炭素残存率の特徴を図2に示す。作物残渣であるワラ・茎葉・モミガラ、堆肥、広葉樹で葉が多く混入する雑木チップの炭素残存率は低く、耐用年数の目安である15年後にはほとんどが分解する。木質系チップ、その中でも竹チップ、ピートモスは分解が遅い。木炭は、埋設直後に炭素残存率が低下するが、それ以降、炭素残存率が一定でほとんど分解しない。
  3. 北海道2圃場・茨城3圃場・沖縄2圃場にガラス繊維濾紙法で50~60cm深に埋設したモミガラ・バーク堆肥・木材チップ・木炭の炭素残存率から推定した各疎水材の15年後の炭素残存率を、資材埋設深の平均地温と一致する平均気温に基づき全国評価する(図3)。各資材の15年後の炭素残存率はモミガラ<バーク堆肥<木材チップ<木炭である。モミガラは、15年後に本州で炭素残存率が10%以下となる。バーク堆肥と木材チップも本州で炭素残存率が20%以下と低い。木炭は長期に炭素が残存する。農地下層における有機質疎水材の炭素残存率は、疎水材の種類と南北の差が大きい。
  4. 農地整備による全国の炭素貯留ポテンシャルを明らかにするため、日本で広く行われている暗渠の整備において各有機質疎水材を導入した場合の炭素貯留量を、暗渠整備面積(例として2002年)・資材による埋設炭素量・15年後の炭素残存率(畑の最も分解しやすい条件)の積で計算すると、モミガラ4千CO2t、木材チップ22万CO2t、木炭127万CO2tと算定される(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:農林水産省や自治体の行政担当部局(事例:北海道農政部地球温暖化対策検討部会)と実施部門のコンサルタントや土地改良区、評価機関となる農業試験場
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:カーボン・オフセット制度の方法論への登録や日本国インベントリーの炭素貯留量の原単位や活動量での活用、農林水産省や自治体の委員会(これまでに農林水産省3件と前記の北海道1件)等で活用が想定される。
  3. その他:本成果は暗渠整備の疎水材の選定に活用でき、北海道(毎年約千ha)と宮城県(延べ430ha)では本成果に基づき木材チップが使用されている。また、本成果と補助暗渠工法カッティングソイラ(農業新技術2012)を活用した暗渠整備が期待できる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027393
カテゴリ 温暖化対策

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