Culicoides属ヌカカ幼虫の分子生物学的手法による種同定

タイトル Culicoides属ヌカカ幼虫の分子生物学的手法による種同定
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究課題名
研究期間 2006~2013
研究担当者 梁瀬 徹
松本由記子
松森洋一
相澤真紀
平田美樹
加藤友子
白藤浩明
山川 睦
津田知幸
野田博明
発行年度 2013
要約 家畜のアルボウイルスを媒介するCulicoides属ヌカカの幼虫から抽出したDNAより、ミトコンドリア遺伝子の一部配列をPCRによって増幅、ダイレクトシーケンス法で決定することで、Culicoides属ヌカカの迅速な種同定を行うことができる。
キーワード アルボウイルス、牛異常産、媒介節足動物、幼虫、生態、ヌカカ
背景・ねらい Culicoides属ヌカカ(以下ヌカカ)は体長1~3mmの微小な吸血昆虫であり、アカバネ病をはじめとする家畜のアルボウイルス感染症や原虫病を媒介する。それら疾病の防除対策として媒介ヌカカの幼虫対策が考えられる。幼虫は多様な環境に生育すると言われているが、形態的な種同定が困難であり、その生態調査はほとんど進んでいない。近年、翅の紋様や微細構造の違いによって、種の同定が可能な成虫から抽出したDNAを解析し、ヌカカ種のミトコンドリア遺伝子の配列が明らかにされている。それらの配列を用いて、種間差異の大きい領域をPCR法によって増幅するユニバーサルプライマーを設計し、増幅産物をダイレクトシーケンスすることにより、分子生物学的に種を同定する方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 国内に分布する19種のヌカカのミトコンドリア遺伝子(cox 1)の配列に基づき設計したユニバーサルプライマーを用いたPCRにより、それぞれの種から約280bpの領域を増幅し、ダイレクトシーケンスにより塩基配列を決定することができる。
  2. 増幅した領域はそれぞれの種間で71.5~87.0%の相同性であるのに対して、同一種内では96.4%以上の一致がみられることから、GenBankなどのデータベースを用いた相同性検索により容易に種を判別することができる。
  3. 野外で採集したヌカカ幼虫を1匹ずつエッペンドルフチューブ内でペッスルにより摩砕し、市販のキット(DNeasy Tissue & Blood Kit,キアゲン社)により抽出したDNAからもPCRによる増幅が可能である。増幅産物の塩基配列を決定することにより、形態的な特徴の検索に依らずに種の同定を行うことができる(図1)。
  4. 九州および沖縄の水田には、鶏のロイコチトゾーン症を媒介するニワトリヌカカや各種アルボウイルス感染症を媒介するウシヌカカを含む8種の幼虫が生育しており、ヌカカ類の発生源として重要である。一方、放牧地の牛糞では、アルボウイルス媒介種のひとつであるオーストラリアヌカカ幼虫の発生がみられる。また、九州と沖縄では採集される幼虫の種類に違いがみられる(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 農場周辺の環境中で採集したCulicoides属ヌカカの幼虫の迅速な種同定により、病原微生物媒介種の発生場所を特定し、効果的な防除を行うことが可能になる。
  2. 媒介種の生育に適した環境条件が明らかになることにより、アルボウイルス感染症などの発生リスクが高い地域を推定することができる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027389
カテゴリ 水田 データベース 防除

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