タイトル |
二毛作トウモロコシの耕うん畝立て播種に適した作業工程とその湿害軽減効果 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 |
研究課題名 |
|
研究期間 |
2010~2013 |
研究担当者 |
菅野勉
森田聡一郎
住田憲俊
関正裕
|
発行年度 |
2013 |
要約 |
二毛作トウモロコシの湿害軽減のために耕うん畝立て播種を行う場合、事前耕うんを行わず、冬作収穫後に直接畝立て播種を行う作業工程が適する。圃場が過湿となる期間が長いほど、畝立て播種による増収効果が大きい。
|
キーワード |
耕うん畝立て播種、湿害、トウモロコシ、二毛作
|
背景・ねらい |
飼料用トウモロコシの湿害軽減技術として、耕うん畝立て播種技術(以下、畝立て播種)が有効である(細川ら、2008年研究成果情報)。しかし、これまでトウモロコシの畝立て播種に関する研究はトウモロコシ単作条件で行われており、主要な作付体系である夏冬二毛作での畝立て播種の有効性は明らかにされていない。特に冬作飼料作物の残株・残渣は耕起・耕うんが簡略化される簡易耕播種等において後作トウモロコシの播種精度や収量に影響を与えることが知られており、畝立て播種においてもその確認が必要である。そこで、本研究では二毛作トウモロコシの畝立て播種に適した作業工程を明らかにするとともに、畝立て播種の増収効果等を明らかにする。
|
成果の内容・特徴 |
- イタリアンライグラスやライムギの冬作収穫後にアップカットロータリ(作業幅160cm用)と1条用施肥播種機2台を組み合わせてトウモロコシの畝立て播種(畝高さ10cm前後、播種深度約5cm)を行う場合、事前耕うんを行わずに直接畝立て播種を行ってもトウモロコシの乾物収量は他の耕うん法による試験区を下回ることがなく(図1)、省力化と乾物収量の観点から、事前耕うんを行わずに直接畝立て播種を行う方法が適する。
- 慣行耕起播種の作業工程を堆肥散布-耕起-砕土-施肥-耕うん-播種-鎮圧-除草剤散布、畝立て播種の作業工程を堆肥散布-施肥-畝立て播種-除草剤散布として作業時間を比較すると、慣行耕起播種区は120分/10a、畝立て播種区は82分/10aであり、畝立て播種は慣行耕起播種に比較し、作業時間を32%低減可能である(図2)。
- 飼料用トウモロコシの播種から収穫までの生育期間において、地下水位-20cm以上で過湿となる高水位期間が長いほど畝立て播種の効果が顕著になる(図3、4)。しかし、高水位期間割合が4%と低い条件では増収効果が得られない。
- 中程度の湿害が生じた2012年の現地試験の乾物収量データ(慣行播種区1.3t/10a、畝立て区1.6t/10a)を用い、実収量を坪刈り収量の8割の値とし、慣行播種区の10a当たり生産費を都府県平均に同じ(平成23年度牛乳生産費調査)、アップカットロータリの価格719千円、施肥播種機の価格318千円として試算すると、畝立て播種区のTDN1kg当たりの生産費が慣行播種区よりも低くなるのは栽培面積2.1ha以上の条件と推定される。
|
成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:飼料用トウモロコシを栽培する畜産農家およびコントラクター
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:普及予定地域は都府県における転換畑トウモロコシ、普及予定面積は約200ha。
- その他:乾燥条件で畝立て播種を行うと、干ばつ等の被害を受けやすくなるため、湿害等の問題がない飼料畑や乾田での適用を避ける。畝立て圃場でのトウモロコシ収穫に当たっては、畝の上端に合わせて刈取り高さを高くする必要がある。
|
カテゴリ |
イタリアンライグラス
乾燥
コントラクター
湿害
省力化
飼料作物
飼料用作物
除草剤
施肥
とうもろこし
二毛作
播種
ライ麦
|