量管理養液栽培でキュウリ葉に発生する白化症状の原因はリン酸過剰である

タイトル 量管理養液栽培でキュウリ葉に発生する白化症状の原因はリン酸過剰である
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
研究課題名
研究期間 2013~2013
研究担当者 中野明正
東出忠桐
後藤一郎
発行年度 2013
要約 キュウリの量管理養液栽培において、著しい葉の白化症状が発生する場合がある。原因はリン酸過剰症による水溶性マグネシウム等の移行の阻害である。
キーワード キュウリ、白化症状、リン酸、過剰障害、量管理養液栽培
背景・ねらい 近年、施設生産においては、堆肥の多量施肥などにより、土壌における肥料成分の過多が指摘されている。その実態として、リン酸過剰が問題となっている。実際の農業現場では土耕栽培がほとんどであるが、本研究事例のようにキュウリ養液栽培においても、リン酸過剰の場合に認められる症状(葉脈間の白化を伴う症状)が発生する場合がある。症状が発生したのは、作物の生育ステージに応じて必要な量の窒素を日単位で供給する量管理法であり、本手法は施肥量節減や廃液に残る肥料成分の減少による環境負荷低減に有効であるが、キュウリで葉の白化症状が発生し原因の究明が求められている。多収の重要な要素技術である養液栽培の普及のためには、これらの生理障害の原因を特定し対策を講ずる必要がある。
成果の内容・特徴
  1. キュウリの量管理養液栽培において白化症状が認められ、葉脈の全面が白化する著しい症状が発生する場合もある(図1)。
  2. 障害の程度がひどくなるに従い、硝酸分解により得られた葉の全濃度については、リン酸、マグネシウム、カルシウムの濃度が増加する(図2A)。特にリン酸は、著しく増加し、障害程度1~4でそれぞれ、平均含有率10.4、12.9、20.8、31.9mg/gとなる。
  3. オートクレーブ処理による葉の抽出液(以下水溶性画分)では、リン酸のみが上昇し、その他の元素は、障害程度1の葉に比べ低くなる傾向が認められる(図2B)。
  4. リン酸をベースにしたpH調整剤に由来するリン酸の過剰吸収により、水溶性のマグネシウムなどの移行が阻害され、組織の壊死が生じて白化したと推定される。
成果の活用面・留意点
  1. 対象としたキュウリ栽培は、養液栽培の中でも通常の養液栽培と異なる、窒素を日々の必要量分施する量管理法を適用した栽培法である。他の作物でも、量管理を行い、かつリン酸をベースにしたpH調整剤を使用する場合は同様の障害が発生する可能性がある。
  2. .育苗時またはキュウリの初期生育のように体内アニオンが低い状態において、pH調整のための降下剤にリン酸が多量に含まれている資材を使用する場合、リン酸の過剰吸収による葉の白化症状が発生しやすい可能性がある。
  3. ハウス環境や品種によっても症状の出方が異なる。特に相対湿度の低下により発生が助長されること、日本型と海外品種(英国温室型とベイトアルファ型)を比較した場合、日本品種で障害程度が悪くなる傾向が認められる。
  4. 養液栽培に使用する原水がアルカリ性の場合も、量管理を行い、リン酸をベースにしたpH調整剤を使用すると、リン酸過剰が生じやすくなると推定され、塩化物イオンまたは硫酸イオン等を増やした資材で調整する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027311
カテゴリ 育苗 環境負荷低減 きゅうり 生理障害 施肥 品種 養液栽培

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