花を咲かせないように働く「アンチフロリゲン」の発見

タイトル 花を咲かせないように働く「アンチフロリゲン」の発見
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所
研究課題名
研究期間 2009~2013
研究担当者 久松 完
樋口洋平
鳴海貴子
中野善公
小田 篤
住友克彦
深井誠一
発行年度 2013
要約 キクの葉で合成され、花を咲かせないように働く情報伝達物質(花成抑制ホルモン:アンチフロリゲン)を作る遺伝子を発見。キクの場合、葉で日長条件に応じて花成ホルモン(フロリゲン)と花成抑制ホルモンを作る量を調整して開花時期を決めている。
キーワード アンチフロリゲン、開花調節、花成抑制、キク、電照栽培
背景・ねらい 植物が日長を認識し、花を咲かせるとき、葉で開花を決める植物ホルモンが作られるという仮説がキクなどを使った実験から1936年に提唱された。その後、開花を決める植物ホルモンには、花を咲かせるホルモンと咲かせないように働くホルモンの両方が存在すると考えられるようになった。花を咲かせるホルモン「フロリゲン(花成ホルモン)」の正体が2007年に明らかになった。しかし、花を咲かせないように働くホルモン「アンチフロリゲン(花成抑制ホルモン)」の正体は謎のままであった。そこで、キクタニギク(二倍体野生ギク)からアンチフロリゲンの発見を目指すとともに、日長調節によるキクの開花時期調節のしくみ解明する。なお、キクは短日植物であり、短日条件で開花し、長日条件で栄養成長を継続する。
成果の内容・特徴
  1. DNAマイクロアレイ技術を用いてキクタニギクからアンチフロリゲン遺伝子、Anti-florigenic FT/TFL1 family protein (AFT ) を単離した。
  2. 栽培ギク「神馬」のAFT  遺伝子過剰発現体は、短日条件で開花が抑制される(図1)。
  3. 葉で作られるAFTタンパク質は、茎先端に長距離移動し茎頂部で作用する。
  4. FTL3タンパク質(フロリゲン)とAFTタンパク質(アンチフロリゲン)はともに、キクのFD様タンパク質(FDL1)と結合する。FTL3-FDL1の場合、花芽形成にかかわる遺伝子群を誘導する。AFTタンパク質は、その量がFTL3タンパク質の量に比較して多いとき、FTL3-FDL1の結合を抑えることにより花芽形成遺伝子群の発現を抑制する。
  5. フィトクロムBは暗期中断時の赤色光情報を感知して抑制因子(AFT 遺伝子)と促進因子(FTL3 遺伝子)の両方を開花しない方向に制御している(図2)。
  6. AFT 遺伝子の発現には光照射の時間帯が影響し、暗期開始一定時間後から数時間だけAFT 遺伝子を誘導するために必要な光情報を感じることができる(図3)。さらに、その時間帯は、光を受けて開花が抑制される時間帯と一致している。
成果の活用面・留意点
  1. 開花を決めるしくみに積極的な開花抑制機構が存在することを明らかにした画期的な成果である。
  2. キクだけでなく様々な植物の開花時期調節のしくみ解明につながり、需給バランスに応じた農作物の安定生産等に貢献することが期待される。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027291
カテゴリ きく

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