新梢への付傷接種法によるモモのせん孔細菌病の拡大抵抗性の品種間差異

タイトル 新梢への付傷接種法によるモモのせん孔細菌病の拡大抵抗性の品種間差異
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究課題名
研究期間 2006~2013
研究担当者 末貞佑子
八重垣英明
山田昌彦
山根崇嘉
安達栄介
山口正己
発行年度 2013
要約 せん孔細菌病菌液を新梢に接種して形成された病斑長を測定することで、モモ品種・系統のせん孔細菌病に対する拡大抵抗性の程度を評価できる。「Chimarrita」、「もちづき」、「錦」は比較的抵抗性が強く、育種素材として有望である。
キーワード モモ、せん孔細菌病、拡大抵抗性、付傷接種法、病斑長
背景・ねらい せん孔細菌病は、モモの重要病害であり薬剤散布による防除が困難なため、抵抗性品種が求められている。抵抗性育種においては、多くの品種・系統を評価するための簡便な評価法と品種間差異の解明が必要である。簡便な評価法としては、本病と同一の病原菌によって引き起こされるスモモの黒斑病において、抵抗性評価に利用できる新梢への付傷接種法が報告されている。そこで、モモせん孔細菌病における新梢への付傷接種による拡大抵抗性の評価法について検討するとともに、国内外の品種・系統について品種間差異を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. モモの新梢に複針注射器でせん孔細菌病菌Xanthomonas arboricola pv. pruni (MAFF301420)の菌液を接種し、接種部位の病斑長を測定することにより、拡大抵抗性を評価できる(図1)。新梢への付傷接種は、6月に基部径約5mm、長さ30~40cmの新梢を1品種・系統について3本用い、枝1本について3ヶ所接種する。9月に接種した枝を採取して接種部位の病斑長を測定する。品種・系統間の比較には、等分散性を得るために対数変換した値を用いる。
  2. 抵抗性の評価に用いたモモ69品種・系統はすべて、接種部位の病斑の拡大が見られる罹病性である。病斑長変換値は品種・系統によって異なる(図2・3)ことから、せん孔細菌病に対する拡大抵抗性の強さには品種間差異があり、その変異は連続的である。評価に用いた品種・系統の中で「Chimarrita」は、主要品種である「あかつき」よりも病斑長が有意に小さい(図3)。また、「もちづき」、「錦」の病斑長も「Chimarrita」と同程度に小さい。これらの品種は育種素材として有望である。
成果の活用面・留意点
  1. 本評価法は、モモ品種のせん孔細菌病に対する拡大抵抗性の評価や抵抗性個体の選抜に利用できる。
  2. 本評価法では、モモの新梢の拡大抵抗性を評価するが、新梢と葉・果実における発病程度の関連性については明らかになっていない。また、抵抗性には侵入抵抗性と拡大抵抗性があり、本法では拡大抵抗性を評価している。
  3. 「Chimarrita」は導入品種であるが、わが国の栽培条件では食味が不十分である。また、「もちづき」、「錦」は加工用品種で、生食用品種と異なる不溶質という肉質をもつ。そのため、いずれの品種も生食用経済栽培に適さない。
  4. 抵抗性の遺伝様式は不明のため、今後の調査が必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027275
カテゴリ 育種 加工 栽培条件 すもも せん孔細菌病 抵抗性 抵抗性品種 評価法 品種 防除 もも 薬剤 良食味

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