ビワを加害する新種の害虫ビワキジラミ

タイトル ビワを加害する新種の害虫ビワキジラミ
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究課題名
研究期間 2012~2013
研究担当者 井上広光
中西友章
兼田武典
発行年度 2013
要約 2012年に徳島県の栽培ビワで発生した国内未記録のキジラミ類の一種ビワキジラミは、多化性の新種で、春季に多発生して花芽や果実、新梢の表面にすす病の被害が生じる。
キーワード ビワキジラミ、ビワ、侵入害虫、新種
背景・ねらい 2012年5月に徳島県勝浦町の栽培ビワにおいて、国内未記録のキジラミ類が多発生し、果実に激しいすす病の被害が見られた。本種の国内まん延阻止に必要な早期の検出に向けて、分類学的地位を確定し、生態と被害の特徴を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 本種幼虫は、花芽基部や果梗、芽鱗の下などに寄生して甘露や白色ろう物質(ワックス)を多量に排出するため、これらが付着した果実や葉の表面にすす病による被害が発生する(図1A, B)。本種の生態的特性として、盛夏季にはビワ上にほとんど見られないが、9月以降にビワの花芽に産卵し、翌春まで花芽上で数世代を繰り返し(図1C)、春季の多発生につながる。そのため、花芽への産卵が済んだ春季以降に果実を袋がけするだけでは、本種による果実の被害を防ぐことはできない。
  2. 本種は多化性で、成虫には出現時期によって体サイズと色彩が異なる季節型が存在する。4月から6月にかけて出現する春夏型は小形で、体や前翅先端付近後縁に淡黄褐色の斑紋がある(図2A, C)。10月から3月にかけて出現する秋冬型は、より大形で、体や前翅外縁の斑紋が濃色となる(図2B, D)。
  3. 本種は、前翅の特徴的な斑紋などによって、日本に分布する他の同属種から容易に区別できる。世界でビワ属植物を寄主とするキジラミ類には、台湾から2種が知られている。しかし、本種はいずれの既知種にも該当しないため、本種にCacopsylla biwaの学名を与えて新種記載した。
  4. 2013年3月時点において、本種は、国内では徳島県(徳島市、小松島市、阿南市、勝浦町、上板町、佐那河内村)のみで発生が認められている。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:行政機関、普及機関等
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:ビワ生産地域(22府県)。
  3. その他:本研究内容に基づいて病害虫発生予察特殊報1件(徳島県2012年7月27日付)と技術情報1件(徳島県2013年4月12日付)が発表されている。本種の形態、生態および被害の特徴を示したことで、新規発生確認時における早期診断に役立てることができる。本種の防除に当たっては、合成ピレスロイド系トラロメトリン水和剤とネオニコチノイド系ジノテフラン水溶剤が使用可能である。栽培ビワを含む多くのビワ属植物の原産地である中国長江流域ではビワを加害するキジラミ類(学名未決定種)の発生が知られており、これは本種である可能性が高い。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027270
カテゴリ 害虫 びわ ビワキジラミ 防除

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