合成フェロモン剤を利用したフィールドサーバによるクモヘリカメムシの自動計数法

タイトル 合成フェロモン剤を利用したフィールドサーバによるクモヘリカメムシの自動計数法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2013
研究担当者 深津時広
渡邊朋也
発行年度 2013
要約 フェロモン剤を貼った非粘着の観察板に誘引される害虫数を画像処理によって計数する。フィールドサーバのシステムを利用することで、画像の定期的な取得・データ転送・解析処理を自動的に行うことができ、遠隔地から多地点の計測をリアルタイムに行える。
キーワード フィールドサーバ、合成フェロモン剤、クモヘリカメムシ、エージェント
背景・ねらい 害虫計数を行う方法のひとつとして、誘引剤を用いたトラップを目視によって計数する調査方法が広く利用されているが、観測地点・頻度を増すにつれ多大な労力が必要となる。一方で、フィールドサーバは野外における環境計測や画像取得を自動的に行い、遠隔地から多地点の観測を容易に行えるほか、取得データを連続的に解析処理することもできる。 そこでフィールドサーバのシステムを活用し、観察板の様子を画像データとして取得したのち画像解析することで、これまで目視で行っていた害虫計数を自動的に行うシステムを提案する。観察板の設置方法や画像処理を工夫して自動計数の精度を高め、これをイネ重要害虫のひとつであるクモヘリカメムシ(体長14~17mm)に適用したシステムを構築する。
成果の内容・特徴
  1. 非粘着性で対象識別が容易な色(白色)の観察板(30cm×42cm)を、下端がイネに隠れないよう垂直に設置し(水面から約1m)、目的の害虫を選択的に誘引する合成フェロモン剤(富士フレーバー製、40mg)を貼ることで、外乱を減らし自動計数の精度を高める。
  2. フィールドサーバ(3M pixelカメラ使用)は観察板を詳細に撮影できる位置(約1m後方)に設置し、管理プログラムによって自動的に画像取得・解析処理が行われる(図1)。
  3. 画像解析は、a)解析が容易な観察板の内側の領域(70%)を抽出、b)抽出部分をグレイスケールに変換、c)背景差分法によって差分画像を生成、d)差分画像を2値化して対象となるpixel数を計数、e)pixel数から対象の個体数を算出、の一連の処理で実現する。
  4. 当研究所谷和原水田圃場(茨城県つくばみらい市)で2006/8/17-30に実験(5分間隔)を行い、目視で観測した個体数と比較した結果、有意な関係(p<0.001)が認められる(図2)。
  5. 解析結果はWeb形式で出力され、表形式で自動計数された結果が閲覧できるほか、元画像(クリックで2値化結果も表示可)も確認できる。また同時に計測された環境データの表示や、認識レベル(閾値)を変更した結果の再表示も行える(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 多地点での高頻度観測を可能とし、従来方法に比べ少ない労力で対象害虫の発生傾向を把握できる。また誘引剤を変更することで、他の害虫への適用が期待される。
  2. 本システムでは観察板内に対象害虫が何頭誘引されているかを逐次計数するもので個体識別は行わない(同一個体の再飛来と新たな個体の飛来は区別しない)。
  3. 画像解析パラメータは予備実験で事前に求める必要がある。画像内の対象害虫以外のものをpixelサイズで除外しているが、大きさが近いものは誤認識される可能性がある。光・埃・風・雨などの影響が強い画像は誤認識を避けるため除外する。
  4. 使用した画像解析を実現するアプリは2008年普及成果情報(narc08-08)を参照。本システムの運用方法・注意点などはフィールドサーバに準ずる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027248
カテゴリ カメムシ 環境データ 害虫 画像処理 水田 フェロモン

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