カリ施用による大豆子実の放射性セシウム濃度の低減

タイトル カリ施用による大豆子実の放射性セシウム濃度の低減
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2013
研究担当者 関口哲生
内田智子
島田信二
松波寿弥
小林浩幸
渡邊好昭
竹内恵
星信幸
小林卓史
大友英嗣
星一好
粂川晃伸
青沼伸一
池羽正晴
木方展治
発行年度 2013
要約 作土の交換性カリ含量が一定の値を下回ると大豆子実の放射性セシウム(Cs)濃度や移行係数が大きく上昇する場合がある。作土の交換性カリ含量を25 mg K2O/100 g以上とした上で、慣行量の速効性カリ肥料を基肥に施用すれば、子実の放射性Cs濃度の殆どを基準値内に抑えられる。
キーワード 放射性セシウム、大豆、移行係数、カリウム
背景・ねらい 東京電力福島第一原発事故で放出された放射性物質の影響で、一般食品の基準値を超過した大豆が一部のほ場で生産され、その低減化のための早急な対策技術の確立が求められている。水稲などでは土壌の交換性カリ含量の増加により、子実への放射性セシウム移行が低下することが報告されている。そこで大豆において放射性セシウムの子実への蓄積過程を解析するとともに、土壌の交換性カリ含量やカリ施肥の効果を検討し、基準値超過防止のための効果的な耕種的対策技術を示す。
成果の内容・特徴
  1. 大豆子実への放射性セシウムの移行係数は、作土の交換性カリ含量が増加すると、水稲の目標値とした25 mg K2O/100 g までは大きく低下し、さらに交換性カリ含量が50 mg K2O/100 g 程度までは低下傾向が認められる(図1a)。また、単一圃場では、作土の交換性カリ含量と大豆子実の放射性セシウム濃度の関係はより明瞭になる(図11c)。
  2. 2011年産で50 Bq/kgを超える放射性セシウムが検出された地域において、2012年産について143地点で調査した結果、収穫後の作土の交換性カリ含量が水稲作での目標値とした25 mg K2O/100 g 以上あれば、大豆の放射性セシウム濃度は96.5%が基準値(100 Bq/kg)以下である(図1b)。
  3. 大豆において、放射性セシウムはカリウムと同様に、主に5葉期から子実肥大盛期までに盛んに吸収される(図2)。そのため、カリ施肥は基肥を基本とする。カリ施肥は緩効性より速効性カリ肥料の基肥施用の効果が高い(図3)。速効性カリは硫酸カリ、塩化カリともに放射性セシウム吸収抑制効果は同等で、作土の交換性カリ含量が90 mg K2O/100 g程度になるまで施用しても減収は認められない(図略)。
  4. 大豆の生育期間中、作土の交換性カリ含量は徐々に低下し、標準的な基肥量(6~12 kg K2O /10 a)の場合、大豆作後には基肥施用前のレベルまで低下する(図4)。
  5. 以上から、作土の交換性カリ含量が25 mg K2O/100 gを目標として、硫酸カリや塩化カリなどの速効性カリ肥料を施用した上で、地域の施肥基準に応じたカリ施肥を行うことは、大豆子実の放射性セシウム濃度を基準値内に抑えるために有効である。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:行政機関、農業研究機関、農業技術普及指導機関、生産者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:原発事故により放射性セシウムに汚染された地域(関係する7県の2012年度の大豆作付け面積は約23,000 ha)。
  3. その他:カリ肥料の施用量が多いと大豆のマグネシウム吸収を阻害する場合があるため、播種前の酸度矯正では苦土石灰を施用するなど十分なマグネシウム補給を行う。大豆作付け期間中の土壌中のカリ含量の推移は、生育量、降水量、土壌特性などによって異なるためカリウム施肥の際に考慮する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027218
カテゴリ 水稲 施肥 大豆 播種

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