タイトル | 多検体分析に適したコメ中ヒ素化合物の分析法の開発 |
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担当機関 | (独)農業環境技術研究所 |
研究課題名 | |
研究期間 | |
研究担当者 |
馬場浩司 渡邉栄喜 殷熙洙 石坂眞澄 荒尾知人 山口紀子 |
発行年度 | 2013 |
要約 | ヒ酸、亜ヒ酸及び有機ヒ素を迅速かつ連日長時間安定して分析するため、組成が単純で揮発性の移動相のみを用いた各ヒ素化合物の液体クロマトグラフィー分離条件を見いだし、コメの分析に適用しました。 |
背景・ねらい | ヒ素は環境中に広く分布している一方、その有毒性もよく知られています。コメにも土壌由来の種々のヒ素化合物が含まれており、その基準値については現在国際機関で検討が進められているため、分析需要が増大することが見込まれます。そこで、1検体当たりの分析時間が短く、かつ連日長時間分析しても分析装置に負担のかからない安定した分析法が求められています。 |
成果の内容・特徴 | ヒ素の化学形態別分析には、通常、液体クロマトグラフ-ICP 質量分析装置が用いられていますが、不揮発性のリン酸塩やイオン対試薬等を移動相に用いることが多く、連日の長時間分析には分析装置インターフェース部分への不揮発性塩の析出による感度の減少や不安定化といった課題がありました。そこで、組成が単純で揮発性の移動相のみを用いて、コメに含まれるヒ素化合物のヒ酸、亜ヒ酸、モノメチルアルソン酸、ジメチルアルシン酸を4分以内で分離出来る条件を見つけました(図1)。 分析においてポイントとなるのは、検量線用標準溶液には 1 mM 程度のリン酸を加えることです。使用するカラムにはヒ酸を吸着する活性点があることが実験的に推測されていますが、微量のリン酸の添加により吸着を抑えることが分かりました(図2)。コメ検液にはリン酸がすでに含まれているため、試料分析の際にはリン酸を加える必要はありません。 コメを粉砕後 0.15 M 硝酸で加熱抽出したコメ検液でも、問題無く分析できました(図3)。白米標準物質のヒ素化合物認証値と分析値は良く一致し(表1)、また、玄米標準物質(総ヒ素のみ認証値がある)の分析でもヒ素化合物の論文報告値と良く一致しました。 本分離法を用いた分析により、連日の長時間分析が可能となり、増大する分析需要に対応することができます。本成果に基づく分析法マニュアルを農環研ホームページ (http://www.niaes.affrc.go.jp/techdoc/arsenic/) で公開しています。 |
成果の活用面・留意点 | 本研究は農林水産省委託プロジェクト「生産・流通・加工工程における体系的な危害要因の特性解明とリスク低減技術の開発(ヒ素・カドミ)」及び「食品の安全性と動物衛生の向上のためのプロジェクト(水稲ヒ素)」による成果です。 |
URL | http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027189 |
カテゴリ | 加工 水稲 |
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