アフリカ稲作におけるケイ素欠乏の実態とその要因

タイトル アフリカ稲作におけるケイ素欠乏の実態とその要因
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2012
研究担当者 辻本泰弘
村中聡
浅井英利
齋藤和樹
発行年度 2013
要約 アフリカの農家圃場ではケイ素欠乏値を示すイネが広範にみられ、土壌のケイ酸供給力不足、不安定な水条件をもつ稲作生態系、および窒素施用量の増加を要因として、ケイ素欠乏のリスクが高まる。
キーワード アフリカ、イネ、ケイ素欠乏、窒素施肥、稲作生態系
背景・ねらい イネは茎葉部にシリカを蓄積させることで病虫害などに対する抵抗性を高めている。イネは他の作物に比べてケイ酸吸収量が特異的に大きいことから、アフリカのコメ生産を拡大するためには、生産量に応じたケイ酸の安定供給が求められる。しかし、風化土壌の卓越するアフリカ地域おいては、土壌からのケイ酸供給力が乏しいことが予測され、また、これまでケイ酸の肥培管理は行われていない。そこで、アフリカの主要なコメ生産国を対象として、農家圃場の稲体、土壌、および栽培条件を分析し、ケイ素欠乏の実態とその要因を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. ナイジェリア、マダガスカル、ギニア、ガーナ、ベナン、モザンビーク、およびケニアの7か国にわたる農家圃場99地点のうち67地点(67.7%)の圃場で、成熟期の稲わらケイ素濃度がイネ生育に影響を与えるとされる欠乏値の5%*を下回る(図1、2)。
  2. 稲わらのケイ素濃度は、特に、降水量が多く風化土壌(Oxisols、Ultisolsなど)の卓越した熱帯高地および熱帯湿潤気候帯で低い(表1)。
  3. 湛水培養(40°C1週間)による土壌の水溶性ケイ酸量は、稲わらケイ素濃度の変異をよく説明しており、アフリカ地域における土壌のケイ酸供給力の指標として有効である(図2)。
  4. 稲わらのケイ素濃度は、灌漑水田>天水田>天水畑(陸稲)の順に、不安定な水条件をもつ稲作生態系ほど低くなる(図3)。
  5. 窒素施用量と稲わらのケイ素濃度には負の相関がみとめられる(図3)。

*ケイ素欠乏値は、国際稲研究所Handbook series(Dobermann and Fairhurst, 2000)など参照。
成果の活用面・留意点
  1. 湛水培養で溶出される土壌の水溶性ケイ酸量は、アフリカのイネ生産圃場における土壌のケイ酸供給力評価法として活用できる。
  2. ケイ素欠乏リスクの高い地域・栽培条件と病虫害多発圃場とを照合させることで、圃場への稲わら鋤き込みなどケイ酸管理技術に関する研究促進が期待される。
  3. ケイ酸管理技術の導入には、稲わらケイ素濃度の改善が病虫害の軽減などアフリカのコメ増収に繋がることを示す必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027153
カテゴリ 管理技術 栽培条件 水田 施肥 抵抗性 肥培管理 評価法

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