中国半乾燥地酪農小規模層に対する有機野菜栽培導入の経営的効果

タイトル 中国半乾燥地酪農小規模層に対する有機野菜栽培導入の経営的効果
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2013~2015
研究担当者 中本和夫
李寧輝
塔娜
李麗原
発行年度 2013
要約 中国半乾燥地域の酪農小規模層は、飼料高騰により経営の持続性が困難になりつつあるが、牛ふんの発酵熱等を利用した有機野菜栽培システムを導入することによって、経営状況を改善させることができる。
キーワード 中国、半乾燥地域、酪農小規模層、野菜栽培、有機農産物
背景・ねらい 中国半乾燥地域では、近年の飼料価格高騰により、酪農小規模層における持続的経営が危機的状況にある。事態に対処するため、畜ふんを利用したトウモロコシ栽培により、自給飼料の確保に努める酪農家も一部出ているが、水資源の浪費ならびに土壌膨軟化による風食被害の増大等が危惧される。そこで、単位面積当たりの収益性が高い作目の導入と酪農作業に支障をきたすことのない省力的栽培法の検討を通じ、酪農小規模層の経営改善につながる有機野菜生産システムを解明する。
成果の内容・特徴
  1. 北京等の消費者1,200戸に実施した調査では、有機農産物の価格が一般の農産物の価格の2倍を超えても購入する意思があるとする消費者は11.9%にとどまり、輸送コストが大きくなる遠隔産地では、低コスト型の有機栽培技術が必要である。
  2. 試験地、内蒙古自治区蘇尼特右旗で問題となる強風や地温変動等に対処するため、牛ふんを播種床後方に80cm堆積し、その発酵熱等を利用する野菜栽培システムを作った(図1)。このシステムによって、防風林設置や育苗施設建設等の初期投資が不要となるとともに、日常的管理は潅漑ポンプの開閉程度で済むことから、酪農作業に影響を与える可能性も小さい。
  3. ミニカボチャ(品種名:貝貝)の栽培では、基肥として前年に堆肥化した牛ふんを、追肥としては当年に堆積した牛ふんに散水することで得られる牛ふん液肥を用い(表1)、幼苗期に甚大な被害をもたらすネキリムシには塩ビ管によって侵入を防ぐ(図1)などし、5aの試験圃場に直播した170株から993.0kg(9個/株、649g/個)の収量が得られる。
  4. 2012年、2013年に生産したミニカボチャを、北京の有機農産物生産・販売企業に委託し、消費者に無料で配布したが、消費者の65.8%が16.0元/kg以上の支払意思額を表明した。この支払い意思額と表2の生産・販売コストから、酪農小規模層が有機野菜栽培を導入することによって、1,021.4元/aの収益が期待できる。
成果の活用面・留意点
  1. 牛ふん中にはナトリウム等、作物の生育にとって望ましくない塩類も含まれているため、追肥を実施する際には、牛ふん上への長時間の散水は避けるべきである。
  2. 政府の有機認証取得コストは、新興・小規模産地が負担できる金額ではないため(審査経費だけでも15,000元が必要)、生産物安全性の証明に関わるコストは、Webカメラ等を用いた自作のモニタリングシステム(1,503元/セット)の利用を前提としている。
  3. 試験地は海抜1,100mに位置し、紫外線の影響が深刻なため、耐候性を有する資材の採用を前提とし、資材費の計算においては耐用年数を3年間とした。紫外線の影響が小さい地域では、本成果が示す資材費を下げられる可能性がある。 
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010027145
カテゴリ 育苗 かぼちゃ 乾燥 経営管理 コスト 栽培技術 低コスト とうもろこし 乳牛 播種 品種 モニタリング 野菜栽培 輸送

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